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■白南風間際



■■

帰宅してすぐに異変に気付いた。玄関の鍵が開いていて,部屋の中が荒れ放題。

今日は金曜日。土日は部活が無いからモモを誘ってお泊り会兼DVD鑑賞会をしようと思っていた矢先の出来事だった。


『モモ…』

背後のモモを振り替えって見たが,モモは取り乱した様子もなく平然としていた。流石はモモと言うべきか,お陰で少しだけ冷静になれた。


『モモ,警察…かな?』

まずは,とりあえず現場の調査をしてもらおう。

だが,以外にもモモは首を左右に振る。


『空き巣のせいじゃないよ』

『へ?…だってこんな散らかって……』

『旅行』

旅行?

急に現われた単語の意味を掴みかねて,頭の上に?マークが浮かぶ。


『親同士で旅行だって言ってたから』

『一体,何の事を話して…!?』

もしかして。思い当たる事が一つだけあってリビングに駆け込む。

やっぱり玄関と同様に散らかっていて,ひどい有様だった。それでも,物を踏まないようにしてソファーとローテーブルが置かれた所を目指した。


『あ,』

やっぱり,あった。

ローテーブル上には数枚の紙幣と,殴り書きのメモが置かれていた。

―――旅行に行ってきます with柊家

そう言えば数ヵ月前にはウキウキ気分で温泉旅行の計画をしていた気がする。でもこの散らかり様,今日までその予定を忘れていたみたいだ。


『3泊4日だって』

『3泊4日?だったら…』

だったら,丁度モモが消えた翌日に帰る事になる。

俺の言わんとしている事が解ったのか,モモは小さく頷いた。


『そういう流れなんだと思う』

『モモ…』

それでも,最期に家族と過ごせないのはつらい。


『蓬原がいる』

『勿論。最期まで一緒だ』







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