賢紫(未来)
真夜中に、君が居なくなる夢を見た。
君はすごく寂しそうに俺に向かって微笑んでいた。涙は見えないけれど、その表情からではすぐにでも涙腺が決壊しそうだった。
(・・・嫌な夢だな・・・)
身体中からの発汗量が半端じゃない。今は冬なのだからこんなに発汗するのは熱のときぐらいだ。
これはそういった理由で出る汗ではない。
どう考えても、冷や汗だった。
「、紫穂・・・」
今この場には居ない、愛しい彼女の姿を思い浮かべる。
まだ俺から見れば少し幼さの残る、しかし誰にも渡したくないほどイイ女。
互いに気持ちを通じさせるのには、かなり時間がかかった。
俺も彼女も、互いに互いから嫌われたくなかったから。
努力の甲斐あって紫穂と思いが通じたのが、紫穂が17の時。
現在彼女は18になっていて、刻一刻と「あの予知」の時は迫りつつある。
もしかしたらこの夢は、なにかの伏線になっているのかもしれない。
俺も彼女も高超度エスパー、しかも彼女は国内で3人しかいない「超度7」だ。直接会っていなくとも何か無意識の内に思念を送ってきてもおかしくはない。
「そろそろ、なのか」
薫ちゃんはまだバベル側に着いている。つまり「あの予知」のシナリオはまだ始まってはいない。
恐らくあと僅かしかない時間で、俺たちが未来を変えることはできるだろうか。
紫穂を、自分は引き留められるだろうか。
真夜中の思考
(考える事を止められなくなる)
30賢木×18紫穂
不安と焦燥に駆られる賢木先生。
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