賢紫(賢木視点)
呟かれた言葉は、小さすぎて聴こえない、なんて言い訳は言っても無駄になるだけだ。
自分のしていることは、彼女にわかってしまっている、目の前にいるのだから。
きっと、向こうはその気になればこっちの思考なんぞ、簡単に読めてしまうのだろう。
だからこそ、敵にも必要とされるのだ。
俺の愛す、本気の人。
 
そのままたじろいで、今にも行ってしまいそうな。
儚い人。
 
同じエスパーだろ?
同じ能力で、同じ高度エスパーだろ?

俺を捨てるのか?また独りにするのか?

なんで君は俺をおいていくんだ?
なんで君は俺を受け入れようとしないんだ?防壁を張るんだ?
なんで君は俺を。
 
触れて欲しい、そのまま華奢な身体を抱きしめたい。
機械越しの会話なんかじゃ俺の感情はごまかせない。
すべてをめちゃくちゃにしてもいいのなら、君に触れたい。
「言われなくてもわかる」そんなわけない。だって俺たちは「接触感応者」(サイコメトラー)。
触れ合うだけでわかる、そんなわけない。人に捨てられるのはもう嫌だから。
 
結局俺は、何一つ出来ない。俺は自分のやっていることを捨ててやることも出来ない、ひんじゃくなこ。
友人を選ぶ、最愛の人よりも。
 
 



.

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!