四真(※死ネタもどき)
私は、 幼かった。
いつも先輩の背だけみて。足元に伸びる影だけを見つめて。
だから気がつかなかった。先輩がいつも、どんな表情をしているかなんて。
先輩が怪談を「語」間、どんな表情をしていたか、なんて。
だから、失ってから気づいた。
遅かった、と知ってからでは遅く、何もかもが崩れ去って過去形になってしまった後で。
涙を流しても、それが先輩に届くことはない。
血に塗れて、先輩は笑っていた。
あの人の全てが愛しい、と気付くには少し、遅すぎた。
(だから私は彼の代わりに、)
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