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「先生!ほっぺ冷やすー」
「あら!まぁ!」

マダムポンフは私の頬を見ると慌てて杖を振り氷嚢を私の手に持たせた。まだじんわりと熱をもったそこに当てるとひんやり気持ち良い。授業、も勿論私頭悪いから出なきゃいけないんだけど、それより何よりこの顔がなければ生きていけない!

「ケンカしたの?」
「売られたけど買わなかったですよ」
「そう…」

ポンフは眉間に紫波をよせて不可解な表情をしたが私を適当なベッドへと案内するとシャッとカーテンをひいて消えてしまった。ごろんとベッドに寝転がり、目を閉じる。昨日パジャマパーティーと銘打ってむだに夜更かししたからまだ眠い。欠伸をひとつして眠りについた。起きるのは、昼だろうか…。





「…」

ぱちり、と急に目が覚めた。なにか夢を見ていた気がするけれど、よく覚えていない。伸びをしてベッドを降りて、頬を殴られたことを思い出した。ベッド脇に置いてあった鏡を見ると頬はまだ少し赤い。…最悪、完璧な私の肌が…。しかしいつまでもそんな理由で(私にとっては一大事なのだが)ここにいるわけにはいかないので医務室を後にした。広間に向かう途中で前から早歩きでこちらへ向かってくるあの人は…、ルシウス先輩だ!あんなに急いでどうしたんだろう?

「ルシウスせんぱーい」
「なまえ!」

ルシウス先輩の目的は私だったらしい。私が声をかけると駆け寄ってきて、その視線は明らかにぶたれた左頬へといっていた。えっと…この沈黙は一体なんだろう。ルシウス先輩はじっと黙って私の頬を親指で撫でている。

「あの…」
「…スリザリンの生徒に聞いた。すまなかった」
「え、なんで謝るんですか…?」
「私の今までの女遊びの悪さが原因だろう」
「そんなことないです!私が悪いんですよ、ほら、よく嫉妬されるんです。この顔だから」

笑顔で自分の顔を指差すとルシウス先輩は一瞬わけがわからないといった表情で私を見たが、すぐに安心した、と言って私の頬を撫でてくれた。前握ってくれたときも思ったけど、先輩の手ってやっぱりあったかい。当たり前のことなのに、なんだか不思議に感じる。

「先輩、わざわざ来てくれて、ありがとうございます」
「気にするな。また夕食の時にでも」

ルシウス先輩は忙しいようで、最後に私の頭を優しく撫でるとそのまま廊下を進んでいってしまった。うぅ、かっこよすぎる。本当にハマっていっちゃうのは私だけなのに、あーぁ、ルシウス先輩ってズルいなぁ。


(ズルいくらいにかっこいいなぁ!)
(…何1人で叫んでんだよ)
(あ、シリウス!心臓が張り裂けそうなんだけどっ)
(はいはいそうですかそうですか。オラ、次の授業遅れんぞ)







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