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「お、おはようございます」
「あぁおはようなまえ」

奇妙な関係が始まって一週間が経ち、広間の天井はぬけるような青空で雲ひとつない。すれ違うルシウス先輩に勇気をだして挨拶するのにも大分慣れてきた。いつも通り笑顔が返ってきて、それでもまだうわ、と顔が思わずにやける。そしたら後ろにいたらしいシリウスに頭をパーンと叩かれた。

「いたっ!シリウス、女の子に手出すなんてひどーい」
「お前は俺んなかで女じゃねぇの。ていうかお前なにふっつーにエンジョイしてんだよアホか」
「うっ…」

シリウスははあ〜とわざとらしい大きな溜め息をついてみせる。シリウスの言いたいことはよくわかっているつもりだ、その、つまりあれでしょ?私が結構悩んでたのにルシウス先輩と普通に恋人ごっこしてるから、だろう。不機嫌な表情でパンにバターをつけるシリウスにごめんね、と謝った。

「別にお前がいいならいいけど、後で後悔しても俺はしらねぇからな」
「うーん…と言いながらもいつもどおり慰めてくれるに3ガリオン」
「言ったな?」

シリウスと顔を見合わせてニッと口角を上げて二人で笑う。シリウスとは兄弟みたいなものだ、いつもちゃんと助けてくれるから、私は昔からシリウスに甘えすぎてるかもしれない。

「つーかお前最近…太った?」
「!」

さすがプレイボーイのシリウス、女の子の体型なんて服の上からでも見ただけで解るらしい。この美しい私に太った、なんて言えるのはシリウスくらいのものだと思うね、全く。でも事実だからうんと頷いた。

「幸せ太りかなぁ…」
「お前のその美しさ、もさすがに太ったら衰えんじゃねぇの?」
「な…!ありえないありえない!」

だって生まれてこの方1日も可愛いって言われなかった日がなかった私だよ?!話したこともない人に告白されることもざらにある私だよ?!可愛いっていう理由でよくバタービールとかサービスしてもらえるこの私がだよ?!隣のシリウスはいつの間にか私を冷めた目で見ていた。

「そんな…私にこの見た目がなかったらなにが残るっていうの?」
「知らねぇよ。だからダイエットしろよ」
「ダイエット…そうだね、そうする」

早速朝食を控えることにしてひたすらサラダをばりばりと食べて、席を立った。もう行くのかよと言われたけど、長居は無用。間違いなくデザート食べちゃう。広間を出て美しさチェックのためにトイレに寄ろうと角を曲がるとルシウス先輩がいた。ぺこりと頭を下げるとルシウス先輩がこちらへやって来る。なんだろう?

「来週のホグズミートはどうする」
「え、あの、それって…!」
「もう予定があるならば構わないが」
「ありません!ぜひご一緒に…!」
「そうか、わかった。空けておこう」

ルシウス先輩はそれだけ言うとマントを翻しまたスリザリンの取り巻きと一緒に歩いて行ってしまった。これってデートだよね?うん、デートだ…!どうしよう人生初めて、しかもあのルシウス先輩とデート。リリーに相談しなくちゃ!





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