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クリスマスは明後日だ。明後日なのに。なまえが相変わらず浮かない顔をしているところを見るとどうやらルシウス・マルフォイはまだ何もしていないらしい。実は馬鹿なのか?あいつ。なんで俺がイライラしなきゃなんねぇんだよ。話によるとマルフォイは誰の誘いも受けていないらしく、パートナーはまだいないらしい。ちなみに俺はとっくにレイブンクローの適当な女を引っかけておいてそれなりに楽しみなわけだが、いや、そんなことが今回の目的ではなかったはずだ。

「このままじゃやべぇだろ。俺行ってくるから」
「行ってらっしゃい」

どこへとも聞かずに俺を笑顔で送り出すジェームズ。どこにいるか予想もつかない相手を探すのはそれなりに覚悟がいることのように思われたが意外にもそいつは大広間を出てすぐに見付かった。

「おい、マルフォイ、ちょっと話そうぜ」
「…先に行っていろ」

マルフォイは渋る取り巻きたちを先に行かせたあとに相変わらずの不機嫌そうな顔で俺に振り返る。それでもこの間の怒った顔よりはマシなものだ。人目につきにくい階段の裏へ移動して早速本題に入った。

「お前どうするんだよ」
「今更どうするもこうするもないだろう。これが私の出した結論だ」
「それ本気で言ってんのか?」
「あぁ。もう決めたことだ」

あぁ本当にこいつは思った以上に頭が悪いのかもしれない。こいつはどうでも良くたって、なまえはどうでも良くないわけで、あいつのためにここまで出来る自分も大概だな、とは思うけれど。イライラして思わずマルフォイの胸倉を掴んだ。

「クリスマス休暇中に会うんだぞ?!あいつの両親が気に入ってる男と!それでいいのかよ?」
「…なまえは帰るのか」
「そうだよ!お前はパートナーも作らず何してんだよ?それが答えなんじゃねぇの?」
「…」
「俺達じゃ止めらんねぇ。もう言わなくても意味はわかってんだろ?」

話しているうちに少し気持ちが落ち着いてきて、手を離してマルフォイを睨みあげると彼は思ったよりもずっと無表情だった。何考えてるかわっかんねぇんだよ。暫くの沈黙のあと、先に動いたのはマルフォイだった。

「手間を取らせたな」
「お前のためじゃねぇよ」
「当たり前だ」

マントを翻してまた広間へと向かうそいつを見ていたら自分でしたことなのになんだか無性にムカついてきた。なんであいつなんだよ、本当に。もっと素直に応援できる男を選べよな、バカなまえ!




あきゅろす。
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