[携帯モード] [URL送信]
28


もうすぐクリスマスだ。広間には大きなツリーが飾りつけられていて、みんなどこか浮足だってる。私ももう荷造りもほとんど終わって、ヒマがあればあの写真を見てどんな人なのかなって想像する毎日。噂は独り歩きしてルシウス先輩が浮気したとか私に好きな人が出来たとか色々言われているのであまりうろうろ外を歩くのも億劫になってしまった。いつまで続くのかな、こんな日々は。今日も談話室で興味もない本を読んでうとうとしているとジェームズたちが勢い良く入ってきて大声で叫んだ。

「クリスマス・ダンスパーティー開催だ!」
「?!」

驚いてソファーからずり落ちそうになる私をシリウスが笑う。ダンスパーティー?まぁ私にはあんまり関係のない話みたいだけど…。どうやらまたジェームズたちで校長に直談判しに行ったらしい。さすがダンブルドア、ノリが良い。周りのみんなはきゃあきゃあ言って一斉に両親に手紙を書きはじめた。そうか、みんな残るのか。

「なまえも残るだろ?」
「私はいいよ…あの人に会わなきゃだし」
「あんな奴夏休みでも良くねぇか?」
「んー…でも、踊りたい相手もいないしね」

だれでも名を挙げて良いと言うのならば、ルシウス先輩ただ一人。踊ってもらえるわけないけどね。もうあの日から三週間くらい経っている。なんにも言われないってことはもう自然消滅してるのかもな。なんだか私が引きこもっているから廊下でも擦れ違うことなんて全くないに等しいし、まだ挨拶する仲なのかもわからない。シリウスには悪いけど楽しんで、とだけ伝えて熱気ある談話室を後にした。



「なまえ、ダメだった?」
「踊りたい相手がいないってよ」
「マルフォイ先輩かぁ…」
「マルフォイの野郎は何やってんだよ」
「さぁ…でも今回のことで本心が見えるかもね」

リーマスがふふと小さく笑った。そのためにも早速パーティーのことがあいつの耳に入るようにする必要性があるわけで、俺たちは早速談話室を出て広間へ向かう。クリスマスまであと一週間だ。




第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!