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弟になかなか出会えないというのも変な話だが、なかなか出会えない。校舎が広いことに加えどうやら避けられているらしい。クリスマス休暇前までにはなんとしてでも捕まえないと、と思っていたら。教室移動でたまたまばったり会った。ジェームズたちを先に行かせてレギュラスの肩を掴んだ。

「よぉ、久しぶりだな」
「…兄さん」
「ちょっと話そうぜ」
「…」

観念したようなレギュラスは友達と別れ俺に向き合った。ちょうどチャイムが鳴って廊下からは人がいなくなり静かになる。まあ1回くらいサボってもなんの問題もないだろ、ああ、もう3回はサボったか。

「お前、どこまで知ってんだよ」
「何をですか?」
「なまえのこと」
「…たまたま話を聞いて、それをルシウス先輩に伝えただけ」

言い渋っていたようだったが、苦々しくレギュラスが口を開く。何を、とかどこで、とか糾弾していくうちにだんだんと話が見えて来て、思わず怒鳴りたくなる気持ちを落ち着けた。今は授業中だし、感情的になるのは良くない。

「お前はどうしたいんだよ」
「なまえ先輩が幸せになるなら、それで」
「それで?」
「…だから、ルシウス先輩はイヤなんですよ。どうせ幸せになんてなれないんだから」
「…」

レギュラスの言わんとすることもわからなくはない。どうせ幸せになれない、というのはマルフォイが純血主義だからどうせ一緒にはなれない、という意味か、もしくはマルフォイが女関係にだらしないという意味か、意味は1つではないのだろうが、一緒になれないというのならレギュラスは自分自身の可能性を潰しているのと同じではないか。

「マルフォイはおいといたとして、レギュラス、お前はいいのかよ」
「僕はなまえ先輩が幸せになれるならそれでいい」

同じことを考えるあたりがやっぱり同じ環境で生きてきた兄弟だと思わざるを得ない。が、それでも、俺はあんな写真の奴になまえを渡すくらいなら俺のほうがよっぽど幸せにしてやれると思う。それでもなまえにそう言わないのは、なまえの幸せが何かをよく理解しているからで。

「お前がなまえの幸せをどう思うかはしんねーけど、なまえにとっての幸せはマルフォイといることなんだよ」
「…」
「傷ついたら慰めてやればいいだろ、あいつがそれを望む以上無理矢理引きはがす意味なんてねぇんだから」
「それでも、それで僕にチャンスが出来るならそれはそれで良いことなんですよ、兄さん」
「へぇ」

ちょっと話さねぇうちに随分とスリザリンらしくなったじゃねぇか、と的外れなことを思う。なまえが好きなのはスリザリンの権化のようなあいつな訳であって、いまのレギュラスなら少しは分もあったんじゃないかと思わなくもないが、まぁそれでも今更は無理だろうな。相手が悪すぎると俺ですら思う。

「まぁ、なまえとマルフォイの邪魔はすんなよ」
「…」
「いいか、絶対だぞ。勝手に手ぇだしてなまえが泣いてもしらねぇからな」

俺の牽制がどれだけ役に立つかなんてわかんねぇけど、まぁないよりはマシだろ。あとはなまえがどうするか、マルフォイが何をしたいか、だけど。そこは自分で気付かなきゃ意味ねぇだろ、さすがにな。




あきゅろす。
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