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「おい、お前何考えてんだよ!」
「…ブラックか」

ルシウス・マルフォイは思いの他はやく見付かった。俺より少し背が高いマルフォイは俺を見下しながら露骨に眉を潜めて不快感を隠そうともしない。なんでよりによってコイツなんだ、と思わず舌打ちが出てしまう。

「何の話だ」
「なまえに決まってんだろ!」
「…貴様には関係のない話だろう」
「関係ある」
「ただの幼なじみがか?」
「ただの、じゃねぇよ。大事な、に決まってんだろ」

軽い挑発のつもりだったのにそれは随分効果があったようで、マルフォイにしては珍しく嫌悪よりも怒りをあらわにした表情を見せた。しかし何よりその態度が俺が見たかったものだということにこいつは気付いているのだろうか。

「自分の都合で捨てたくせにそんなに怒る権利があんのかよ?」
「…うるさい兄弟だ」
「…兄弟?」
「私には私の考えがある!放っておけ!」

マルフォイがこんなに声を荒げる姿を見たことがある者が果たしてこの世にどれほどいるのだろうか。などと的外れなことを考えた。いつもすました顔で厭味を飛ばすだけなのに。周りにいた生徒たちも何事かとこちらへ視線を向ける。怯みそうな自分を抑えて、極力落ち着いた声で言葉を口にする。

「気付いてるんだろ?」
「…さぁ、何にかな」

なまえがお前を好きなこと、お前がなまえを好きなこと。その両方にだということにはどうせ気付いてるんだから教える必要はない。マルフォイはそのまま振り返らずに早足で去っていった。




あきゅろす。
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