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「なまえ、大丈夫なの?」
「え、お、お母さん?」

リリーたちがお見舞いにきてくれて、その次にベッドの脇に表れたのはまぎれもない私のお母さんだった。少しルシウス先輩を期待していただけにかなり驚き。なんでホグワーツにいるんだろう。

「事が事だから、ダンブルドアに呼ばれて…スリザリンの生徒の処罰について聞いたり、ね」
「そんな大袈裟なものじゃないよ」

思わず苦笑い。お父さんは仕事が忙しくて来れなかったらしい。どうやらシリウスを庇って怪我したっていうのも聞いてちょっと怒ってるみたいだ。シリウスは別に純血主義でもなんでもないって言ってるけどそれでもやっぱりあんまりよろしくないらしい。適当に聞き流しながら謝っていると、はぁと大きな溜め息をつかれた。

「それでも、人を助けられるのは良いことよ」
「うん…」
「でもあまり無茶はしないこと」
「うん、気をつける…」
「それとね…紹介したい子がいるの」
「え」

弟か妹でもできたのかと思ったけれど、冷静に考えてそんな訳はない。え、だれだれ?と好奇心たっぷりに聞いてみて、後から後悔することになる。

「今おつきあいしてる人とかはいるの?」
「い、いないけど…」
「そう…だったら、どうかしら。お父さんのお知り合いの息子さんなんだけどね。この話もしたかったからちょうど良いと思って」

え?話の流れがよく読めずに固まる私とは対照的にさっきまでのお説教モードはどこへやら、キャピキャピと嬉しそうなお母さん。まさかルシウス先輩とつきあってるなんていったらどうなるかわからない。話を聞いているとボバートンのルシウス先輩と同い年の人で、この間一緒に食事をした時にすごく礼儀正しくてとっても気に入ったとかなんとか。いやいや、待って、ついていけない。

「い、いやいや。そっちの人だって彼女いるかも…」
「なまえの写真見せたら、向こうも会ってみたいって言ってたわよ!」
「…」

そりゃぁ、ね?私の美しさに興味を持たない人のほうが奇特だもん。でもこっちはその人がどんなにかっこよくたって全く興味を持てない自信がある。だって私が好きなのはルシウス先輩なんだもん…。会いたいよ、先輩。私からは今は会いにいけないから、ここでこうして待つしかない。それってなんかすっごく寂しい。

「お母さん、私会えないよ…」
「急な話で驚くのはわかるわ。でも、一度会うだけでも会ってみない?」
「…」
「クリスマス休暇は帰るでしょう?その時にでも」
「でも…」
「返事は1週間以内にフクロウでくれればいいわ!じゃあそろそろお母さんも帰らなくちゃ。夕食の準備をしないとね」
「うん…わかった」

こうなるとお母さんはなかなかしつこいから、とりあえず生返事を返す。手紙で返事のほうがこっちも断りやすくていいし…。お母さんは私の頭を撫でると帰っていった。はあ、こんな時にこんな変な悩み事が増えるとは。とにかくいまはルシウス先輩に会いたい。顔が見たい。いつになったら来てくれるんだろう、きっと来てくれるよね。今はルシウス先輩の優しさを信じて待つことにしよう。





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