[携帯モード] [URL送信]
20

ルシウス先輩が、私を好きだといった。たとえ取り繕いの言葉でもそれは私にとってはただの事実としか受け取れなくて、それだけで嬉しい。最近機嫌良いねってみんなに言われるけど、単にデレデレしちゃってるだけだと思う。でもたまに不安になるときもある、いつまでこの生活が続くのかなって。最初は不安だけだったけど今は幸せばっかりで、いつか現実が急に襲って来たりするのかな。でも、それが思ったよりはやくやってくることになるとは私は全然気付いてなかった。


階段をのぼっていたら前にシリウスたちが歩いていて、声をかけようかと少し足を速めたときだった。シリウスたちの少し後ろを歩いていたスリザリン生たちがシリウスの背中に杖を向けてる。全然それに気付いていないシリウスに、声をあげる前に私の足は動いてて、背中にすごい衝撃がはしった。痛い、痛い、痛い。でも声もでない。視界がまっくらになって、最後に聞こえたのはシリウスの大きな名前を呼ぶ焦った声。やだ、私のことでそんなに焦るなんてシリウスらしくないよなんて途切れていく意識のなかで少し思った。


「ん・・・」
「なまえ!」
「いっ…たぁ……」
「先生、なまえが起きた!」
「あら、本当?良かったわ」

ここは、どこ?うつぶせに寝かされていて、白いシーツが視界にはいってだんだんと目が覚めてくる。薬品のにおいがやけに鼻がつく、あぁそっか、医務室だ。思い出すのに少しかかって、ベッドの脇に座っているシリウスは泣きそうな顔で私の手を握ってる。それが小さい子みたいで、小さく笑いが漏れた。

「なまえ、ごめんな」
「ううん、大丈夫だった?…っ」

すこしでも身体を動かそうとすると背中に走る痛み。仕方なく大きく息を吐きながら身体を元の体制に戻した。これじゃあろくに顔を見て話すこともできやしない。とりあえず背中に傷ができたのはわかった。きっとマダムが治してくれる。

「俺は大丈夫だよ。ありがとな。スリザリンの奴らはボコボコにしといた。おかげで罰則になったけどな」
「それじゃ、守った意味ないじゃん…」
「いーんだよ、それでもまだ気が済まねぇ」
「あたし、どうなったんだっけ」
「呪いを背中に受けて、背中ちょっと切って、そのまま気ィ失って階段から落ちて…すぐジェームズが医務室つれてってくれた」
「そうなんだ…お礼言わなきゃ」
「あと、足も捻挫してるらしいけど、そっちは2日くらいで治るだろうってよ」
「えぇ…まじか」
「ごめんな、俺が守ってやるとかいって、俺マジかっこ悪ィ…」
「いや、あれは相手が卑怯だよ。気にしないで」

落ち込むシリウスに少し申し訳ない気持ちになる。そんなの気にしなくてもいいのにさ、大事な幼なじみなんだから。それにしても、どうやら暫く歩けないんだな。…てことは授業もでなくていいのかな、あ、そもそもこんな背中じゃ動けないか…。いやでも次のテスト大丈夫だろうか。いろんなことが一気に頭に浮かんできて、ぼーっとしているとマダムがやってきてシリウスは追い出されてしまった。どうやら暫くはここで寝たきり生活らしい、うぅ、辛い。





あきゅろす。
無料HPエムペ!