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「ルシウス先輩って変わったよね」
「え?そうなの?」
「うん。なんかほんとにほんとでガチって感じ。あんなに女の子たくさんいたのにさ」
「う、うん。そうかな?」

本当に付き合ってる訳じゃないんですすいません。思っていても口に出来ない苦しさと気まずさ。でも勿論ルシウス先輩と話すきっかけ、いやつきあうきっかけまでくれた彼女にはとても感謝している。スリザリンでのルシウス先輩も前とは違うらしくてあんまり女の子と話さなくなったらしい。徹底してるんだなぁ、そんなとこも少し尊敬。

「さすがなまえ。まぁなまえくらい可愛い子がなんで今までルシウス先輩にスルーされてのかが不思議なくらいだけどねー」
「ルシウス先輩ってあんまり人の顔とかは見てない気がするなぁ」
「まぁ言われてみれば」

ルシウス先輩が私の顔を悪くないと思っていることは確かでもきちんと褒められたことは一度もない、と思う。あのシリウスでさえ私の顔の良さを認めているのに。というかそもそもあんまり人に興味がないんだろうなと漠然と思うことも多々あるわけで。

「あ、でもそのぶん内面を見てくれるとこもあるかも」

テスト前のこと、雨の日のこと…色んなことを思い出す。ルシウス先輩って近くで見れば見るほど私を夢中にさせてく。他の女の子だってきっとそうだったはずなのに、独り占めしているのがこの私…て、いやほんとに不思議。運が良かったとしか思えない。

「そういえばこの間ルシウス先輩告白されてたよ」
「えっ。だ、誰に?なんて言ってた?」
「スリザリンの後輩の子。なまえ先輩だけが本当に好きなんですかって食い下がられて好きだ、ってきっぱり言っててかっこよかったよー」
「え」

ルシウス先輩が私を、す、好きだって?ありえないとわかってても想像しただけで頬が熱くなってきた。でも…私はルシウス先輩とつきあい始めてからは告白なんてレギュラスくらいにしかされてないけどルシウス先輩はやっぱりまだ告白されてたりするんだなぁ…。そんなこと思う権利ないはずなのに、少しモヤモヤ。い、いちおう、私の彼氏、だし?なんて自分で思って照れたり虚しくなったり、躁鬱状態。

「なまえ、ここにいたのか」
「え、あ、ル、ルシウス先輩」
「?真っ赤だぞ。熱でもあるんじゃないか?」
「あ、ちち違、います、大丈夫です。すっすいません」
「ルシウス先輩、なまえのこと、好きですか?」
「わ、ちょ、バカ!やめてよっ!」

冷やかしくらいにしか思っていないだろうけれど「好き」を強調する友達の口を慌ててふさぐも時既に遅し。後で謝らなくちゃ、とか言い訳とか、色々同時に考えて頭が痛い。ルシウス先輩に謝ろうと振り返ったのにルシウス先輩の口から出てきた言葉は。

「…好きだ」
「えっ」
「なまえってば真っ赤じゃん。んじゃ、またねっ」
「…あ、うん…また…ね」

ルシウス先輩が私を 好きと言ってくれた。わかってるのに、嘘だって。それでも嬉しくなっちゃうなんて、私ほんとに馬鹿すぎる!でもそれだけルシウス先輩のことが好きってことをいやでも無理矢理自覚させられる、この人の傍にいるたびに。

「…なまえも聞かれたら、同じように答えるんだぞ」
「は、はい!」

ふふと小さく笑って悪戯にそういうルシウス先輩の真意は読めないけれど、ルシウス先輩を好きだと公言していいのだと認められたことがなんだか嬉しい。先輩の好きだが頭から離れない。いますぐ叫びだして校庭走り回りたい気分だけどさすがにフラれそうだからやらない。





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