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「ルシウス先輩、ルシウス先輩!待たせてすいません!」
「構わん。今日はヤケに元気だな、そんな薄着で寒くないのか?」
「わ、私、デートとか、初めてなんですよっ!お洒落はがまん、ですっ」

そっか、デート慣れしているルシウス先輩にとってはこんなのなんてことないただのデートのひとつなんだよな。そう考えて少ししょんぼりしているとルシウス先輩にぎゅっと手を掴まれた。顔を上げると、優しく微笑んでいる大好きなルシウス先輩。

「どんなデートがお望みだ?」
「あ、えっと、甘いものは控えたデートでお願いします」
「それはまた何故」

ルシウス先輩は不思議そうな顔をする。あぁまた初めて見る表情だ。胸がきゅんと痛い。ルシウス先輩といるときに限っては私チークなんてのせる必要ないかもしれない。今度から控えめにしてこよう!

「いまダイエットしてて」
「十分細いと思うが」
「シリウスに最近太ったって言われて、太ったらさすがに唯一良い顔も悪くなるかもしれないので」

シリウス、という単語にルシウス先輩がぴくりと反応した気がする。あそうか先輩はシリウスなんて嫌いかも。でもそれは杞憂だったようでルシウス先輩はべつに怒ったり嫌悪感を示すことはなかった。

「レギュラスと幼なじみなんだって?」
「あ、はい!ブラック家とは子供のころから仲良くさせて頂いてました」

ただ…私の親が元からあまり好意的に思っていなかった純血主義を毛嫌いしだしてからはブラック家とのお付き合いも当たり前ながら疎遠になって、お母さんは私とシリウスが今も仲良しなのをあんまり良く思っていないみたいだった。シリウスは全然そんなこと思ってないしむしろそういうの大っ嫌いなのにさ。…だからルシウス先輩を私が好きなんてバレたら、あぁ、恐ろしいったらないや。だから内緒!

「いまは色々あってもう全然なんですけどね。あ、そのレギュラスとももう全然話さないし…」
「お前の口から他の男の名前が出るのはあまり嬉しいものではないな」

びっくりしてルシウス先輩の顔を見るとまっすぐ前を向いていてどんな表情なのかはよくわからなかった。ただ真っ直ぐ前を見つめるルシウス先輩は私なんか比べものにならないくらいすごく綺麗で初めて自分の顔に自信をなくしそうになった。でもやっぱりルシウス先輩は私のなかで例外なのだと思う。好きです。小さく心のなかで呟いて目を伏せた。その言葉の真意はわからないけど期待なんてしない。でもこの繋いだ手の温もりは本物だから大切にしたい。好きっていつになったら言えるのかな。いつかはきちんと言いたいと強く強く思った。






あきゅろす。
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