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愛とかそういうふわっとした要は気の迷い的な?
先生が好き、というのは語弊があるかもしれない。正確にいえば先生になったセブルスが好きだった。教授となって教壇に立つセブルスを見て、この忌々しい不老不死の身体も悪くないとすら思ったほどだ。セブルスは私が教室にいるのを見つけると大抵嫌そうな顔をして、私を1回も授業であてたことはない。それでも放課後彼の自室を訪れれば、かつての級友としてお茶を出してもてなしてくれた。

「最近はどうなの?」
「順調だ」
「ふーん。授業では不機嫌じゃんね」
「それはいつものことだ」

セブルスのギャグは昔からわかりにくいから、笑っていいかわからない。いやそもそもギャグなんて言うような人物じゃないとそろそろ気付くべきなのか。ちっちゃかったセブルスは大きくなって、それなりに体格も良くなって、スリザリンの生徒にはそこそこ優しく接していて。まぁポッターとウィーズリーの頭を教科書でスパーンスパーンと叩いたときはさすがに爆笑したけれど、横目でにらまれた。とにかくセブルスは人気はともかくとしてそこそこ教授としての役割は板についているように思える。

「そういえば、授業でわからないことがあった」
「ほう、私の倍ほども生きていてまだわからないことがあるか」
「嫌みったらしいなー。教えてよ、ほら」

セブルスの机の上にあった教科書を勝手に手に取り捲って見せると、先生の顔になったセブルスは無意識に教科書を覗き込んでくる。いやあの、ちょっと顔、近い。でもそんな私の様子にも気付かずにセブルスは真剣な顔で解説を始める。とりあえず頷いてはいるものの、くそ、セブルスから大人のオーラを感じるなんて悔しくてもう嫌だ。声が…その声でそんなに近くで話さないで。意図せずとも私よりずっと背が高いセブルスの声が耳元で響いて来てもう限界すぎる。

「うぅ」
「?どうしましたかな?」
「…セブルス、わざとやってるの?」
「さぁ、なんの話だか我輩にはさっぱり」
「だからぁ…それ止めてって、ば!」
「どれを止めろと?」

気付けばセブルスはいつの間にか意地悪な笑みを浮かべていて、こういう時のセブルスって本当に楽しそうだよなー。陰湿な奴め。耳を塞ごうとして手を先回りして掴まれて、もう片方の手もいとも簡単にしとめられてしまって教科書がバサリと音を立てて床に落ちた。その音が合図だったかのように、しんとなる部屋の中。

「なまえ」
「な、なにっ…昔みたいに先輩って呼びなさいよ」
「もう我輩のほうが身体も大きいし見た目も年を取っているのでな」
「そりゃそうだけど…」
「我輩には危機感はもてないと?」
「やめ…っ」
「授業についていけないのならば、課外授業も悪くないのでは?」
「…へんた、い!」
「なんとでも」

いつからセブルスはこんなことになっていたんだ、あんなにあんなに可愛かったのに!それでも耳元で低く甘く囁かれてこっちもいつの間にかそんな気分にされていたりするわけで、実はこいつ常習犯なんじゃないのかとか思ったり思わなかったり。いやそれは考えたくないから止めておこう。流れに任せてしてしまったキスはこの流れがそのままじゃ終わらないことを明らかに示唆していた。そんな何度目かの5年生の、夏。


(20110715)


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あきゅろす。
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