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こどものままでいい
最近気になっている事は、どんなに歴史上で偉大とされていて人生を悟ったことで崇められている人物でも性欲はあるのだという事実。若い女の子がこんなこと考えるなんて教育上よろしくないと思われるかもしれないけれど、純粋にそのことを思ってしまうのはこれまた事実な訳で。

「なまえ」
「はい」
「前見たがっていた本、手に入ったから後で来れるかい?」
「わかりました。夕食前に」

授業の終わりにみんなに向ける優しい笑顔で私の机までやってきたルーピン先生もまた、その一人で。こんなに良い先生なのに、2人きりの時は全然違う人みたいに本能に忠実はただの男の人になってしまう。ハーマイオニーは本当良い先生よね、ずっといてほしいわ、なんて私の横で言っているけれど、それに生返事でかえしながらなんとなく先生を見つめる。私の視線に気付いた先生は振り返ると困ったように小さく笑った。まあ、好きだからあまり多くは考えないけど。


「せーんせーい。来ましたよ」
「なまえかい?どうぞ」

コン、と軽くノックをすればすぐに返事がかえってきて、ドアを開けて後ろ手で閉めたと同時に強く抱きしめられた。それに応えるようにしがみつくけれど、先生の力は強くてちょっと苦しい。そんなに強く抱きしめられたらそれだけでドキドキしてしまう。

「なまえ…」
「せんせ…っ」

指先までしっかり力が入ったその腕は私の腰に回されて、耳元で熱く名前をささやかれる。強引すぎるけど、嫌いじゃない。そのまま何かを言うことも許されずに唇を塞がれて、1回離れたと思ったらまたすぐに舌が侵入してくる。ちょっと苦しいから、ぎゅっとしがみつく力を強めるとようやくゆっくり離してくれる。

「まだ着替えてないのかい?」
「ん…シェーマスと話してたから…時間無くて」
「なんの話?」
「え、今度の、週末に何するかっていう」
「へえ…それで?」
「え、と」
「じゃぁ週末に補習をするかい?」
「…補習っていうか」

あきれたように返す私にまるで悪戯っこのように笑うルーピン先生が愛しいと思ってしまう。週末は別に先生のところに来てもいいのだけれど、先生はすごい元気だから疲れちゃう。みんなにずっと先生のところにいたっていうのもいい加減怪しいから最近は控えてるのに、当の先生がこれだもんなあ。本当にあの教壇に立っている先生と同じ人物なのかが気になるところ。

「なまえ」
「ん……」

嫉妬にかられた先生に優しくベッドに倒されて、首筋に吐息がかかる。優しく触れる唇に私の身体はぞくぞくして、でも余裕な先生がなんか悔しい。このベッドで何回先生としたんだろう、もう数えられないくらい。最初のうちは背徳感がすごかったけど、今ではもう私も先生がいなくちゃ生きていられないくらいに依存してる。はやく夕飯に行かなくちゃ怪しまれるっていうのに、先生はいつも優しく抱いてくれるからきっと今日も夕飯は食べ損ねることになるはずだ。

「愛してるよ、なまえ」
「わたしも、です……リーマス…」
「その顔が1番可愛い」

愛してる、と言われたときに私がどんな顔をしているのかわからないけれど、先生はいつもそう言うから熱い体温がさらに上ることになる。今でこれなんだから、学生時代はどれだけプレイボーイだったんだろ。想像もしたくない、それで結局私も妬いてしまっているなんて。
先生を見ていると心から思うのです、この世に聖人なんていないと。あるのはただただ愛と性欲にまみれた人間らしい愛だけなのだと。それでも私はきっと今日も明日も先生に昨日と同じように抱かれて、愛を確認することでしょう。



(20110715)

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