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コル・レオニス

レギュラスが小さい頃からいつもシリウスへのコンプレックスを抱えていることを私は知っていた。レギュラスのことは人として大好きだし私からしたらとてもシリウスにコンプレックスを感じるようなところはないと思うのだけれど、シリウスくらい目立ってキャーキャー言われてるお兄ちゃんがいたらそんな気持ちになるのもわからない訳でもないかも。
なぜ突然レギュラスの話かというと、レギュラスにたまたま図書館で出会ったからで、広い図書館に私たちは2人きりで他愛もない昔話だとかをしている。でもシリウスの話をしていたらだんだんとレギュラスは眉間に皺を寄せだした。仲が悪いわけじゃないと思うんだけどここは色々複雑だから、いくら幼なじみといえども私は口を出しにくい。

「兄さんはずるいです」
「…なんで?」
「長男のくせに逃げてばっかりで」
「…」

純血、その言葉の重さを私は知っている。そしてシリウスがどれくらいそれを嫌っていて、そのせいでレギュラスがどれだけその言葉を重く受け止めているかも十分に理解はしているつもりだ。逃げている、と。レギュラスからしたらシリウスはそう見えるんだろうか。私には戦っているように見えるけれど、もちろんそんなことは口に出さずにレギュラスの次の言葉を促す。つらつらと吐き出されるその不満は愚痴というには重すぎた。

「レギュラスは偉いね」
「偉い、…ですか?」
「うん、偉いよ。でもがんばりすぎるから心配かな」
「がんばってなんかないですよ」
「そう?ならいいんだけど」

レギュラス。ラテン語で小さな王。彼が大切に育てられていることがよくわかる。シリウスはギリシャ語で光輝く者。レギュラス、私は思うんだけど、2人は一見全く正反対に見えてそれでも本当はお互いを支えあって生きていけるんじゃないかなあ、なんて。がんばっているレギュラスにそんなこと言えないけれど、そう思う。だってそのレギュラスな辛そうな顔は本当はお兄ちゃんへの逃げた憎しみではなく憧れのものであると思うから。

「レギュラス」
「はい?」
「兄弟ってさ、世界に一人だけだから。でもレギュラスはレギュラスなんだから、レギュラスにしか出来ない事も絶対にあるよ」
「…だと良いんですけど」
「あるの!私があるって言ったらあるの。当たり前でしょ?だって私はこんなに美しいんだから!」
「またそれですか。…まあ同意できますけど」
「そう、なら良かった」

いつか2人が仲直りできますように。仲直りなんてそんな簡単な言葉で片付けられるもので済まないのはわかっているけれど、それでもそれくらい仲良くなれればいいと思う。レギュラスに教えてあげたい、好きの反対は嫌いじゃなくて無関心なんだよって。でもどんなにがんばったってレギュラスはシリウスのことを嫌いになれないと思う。それはシリウスも一緒のことで、そんな2人が私はとても大好きなんだ。



(20110707)



コル・レオニス…獅子の心臓
※いちおう連載ヒロイン


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