放棄したらきっと終わる、そんな気がしてる
「やだやだ」
「嫌って言われても…」
「嫌だもん」
涙が出てきそう。でも泣いたらレギュラス先輩きっと嫌がるから泣かない。私なかなか演技派でしょ。今日でレギュラス先輩は卒業だ。どうして私は先輩よりあとに生まれてきてしまったんだろう?
「先輩のいない学校生活なんて考えられないです」
「でも秋からはそうだ。すぐ慣れるよ」
「慣れるなんてもっとやだ」
「…僕だって嫌だよ」
レギュラス先輩が小さな声で私に囁く。俯いていた顔を上げてレギュラス先輩を見つめれば私よりずっとずっと辛そうな表情がそこにはあった。レギュラス先輩のこんな顔、初めて見たな。
「でも仕方ないだろ?ずっと待ってるから」
「…ほんとですか?」
「待ってる。…卒業したら一緒に暮らそう」
「はいっ」
「だから頑張れよ」
「レギュラス先輩、私、先輩のこと大好きです!」
「今言うか?」
急に笑顔になった私にレギュラス先輩は苦笑いしながらも頭を撫でてくれる。いまさら口に出すこともなかったけれどやっぱり伝えたかったその言葉。涙は幸せに負けて引っ込んでしまった。
「僕も好きだよ、なまえ。だから、またな」
「はい!約束ですよ!」
「うん、約束」
そう言って私に小指をさしだしてくれたレギュラス先輩は確かに私に約束してくれたのに、どうしていなくなっちゃったの、私ずっとずっと待ってるからね。
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