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ノックは3回!
「お邪魔しまーす」
「なまえ?何しに来たんだ」
「今日からお父さんとお母さんが旅行行くから、一週間だけお邪魔する、って聞いてないの?」

マルフォイ邸に着いて最初に出迎えてくれたのは同級生であり幼馴染のドラコだった。最近ドラコはちょっと冷たい、思春期ってやつなのか?それでも何も言わずに私のトランクを持ち上げてくれる紳士さにちょっと感動した。前言撤回、で!

「部屋は…どこでも良いか」
「なまえの部屋は2階の1番奥の部屋だ」
「ルシウスさん、こんにちは。ご招待ありがとうございます!」
「父上、なまえが来るとなぜ教えてくれなかったんですか?」
「お前には関係ないことだろう?」
「いや、まぁ…」

ドラコはルシウスさんの言葉に少し引っかかっているようだったけど、首をすくめただけで階段を登っていった。ルシウスさんと話したかったわたしはドラコが階段を登り切るのを見届けてから彼の方へ向き直る。

「ルシウスさん、楽しみ!もう本当楽しみ!幸せ!!」
「そうだななまえ、私も楽しみにしていたよ。後で部屋へ行くから荷物を片付けておいで」
「はーい!」

何を隠そう、いや何も隠せていないのだが、私はルシウスさんと愛人関係にある訳で今日からのお泊まりも私の両親と仲良しのルシウスさんから提案してくれた事なのだ。うきうき気分で階段を上り、ドラコに案内された部屋に入るとそこは想像以上に広い部屋で、天蓋付きのベッドに思わず溜息が漏れてしまった。

「こんな良い部屋いいのかな?」
「ゲストルームだ、このベッドは…恐らくなまえのために父上が買い足したんだろうけどな」
「嘘、ほんとに?持って帰りたいくらい!」
「頼んでみるんだな」
「でも部屋にこんな大きいベッド入らないよー」

さすがにマルフォイ家は純血族でも桁違いの大金持ちで、小さい頃から何度か来たことはあるのにそれでもこの屋敷の広さには辟易するくらい。ドラコが部屋を出て行くのと入れ替わりでルシウスさんがやって来た。

「気に入ったかい?」
「もちろん、もちろんですよー!こんなベッドまでわざわざ!」
「大切なプリンセスを固いベッドで寝かせるわけにいかないだろう?」
「もうそんな照れますから、本当に…」
「なまえ、ずっとここに住んでほしいくらいだよ」
「私もずっとルシウスさんといたいですよ…」

ルシウスさんは雰囲気を作るのがうまいから、さっきまでベッドにはしゃいでいた私はいつの間かそんな事忘れてしまってルシウスさんに一歩、また一歩と攻め寄られてベッドの上にすとんと腰を下ろしてしまった。上から覆いかぶさるようにルシウスさんがシャツの第一ボタンを外しながら乗ってくる。

「早速寝てみないか?」
「でもまだお昼だし、ドラコいるし…」
「大丈夫、防音と私以外施錠できない魔法をかけてある」

ルシウスさんが悪戯っぽく微笑むからおとなしく目を閉じて優しいキスを待っていたのに、ガンガンとノックする音で現実に引き戻される。ルシウスさんが小さく舌打ちしながらドアに向けて杖をふった。突然開いたドアに驚いた表情のドラコ。

「父上、このドア建て付けが悪いようですが」
「…そうか、わかった後で見ておこう。何か大事な用でもあるのか?」
「いえ、なまえと話がしたいと思って」
「だそうだなまえ、息子の相手をしてやってくれるか?」
「勿論です!ドラコの部屋見せてー」
「わかった…父上、何かあったのですか?」
「…何もない」

怒りを抑えて無理やり笑顔を浮かべるルシウスさんの目には殺気が込められていて、ドラコの空気の読めなさが少し面白かった私は不自然なほどに笑顔。ドラコだけが不思議そうな顔で私に何かあったのか?と聞いてくるから、建て付けが悪かったからじゃない?と返しておいた。親子なのに見た目以外はあんまり似てないなー、この二人。


(20131002)

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あきゅろす。
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