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それで十分じゃないか、なんて

「わぁぁーーー!」
「っ…!馬鹿が…!」

先生に頼まれて校庭の庭に杖で散水してたのだけれど、グリフィンドールの3人組が通りがかりにちょっと杖をふって悪戯していったせいで私と傍にいたルシウスはびしょ濡れにされるはめになった。ルシウスはいまにもキレそうだけれどびしょ濡れの私を置いて彼らに呪いをかけにいったりするような人ではない。きっと後でもっと陰湿なことするんだろうけどさ。にしてもルシウスは水も滴る良い男にぴったりくるな。悔しいけど見とれてしまう。

「なんだ?」
「い、いや別に」
「そうか。おい、そこの、タオルを持ってこい今すぐにだ」

ルシウスが傍にいたスリザリン生にそう指図するとその子は何度も頷いてあわてて走っていった。本当人使い荒い。怖い。でも、不思議と離れたくないんだよなぁ。

「ルシウスってさ、基本うざいよね」
「そうか?そう思っているようには見えないが」
「思ってるもん」

ルシウスは小さく微笑んで私に一歩近寄った。うわ、なになに、この空気苦手だ。一歩下がるとまた一歩近寄られてじりじりと壁際まで追いつめられてしまった。私よりずっと背の高いルシウスを見上げると、どうした、とささやくように言われる。

「そう脅えるな、寒いだろう?暖めてやる」
「寒くないよ、大丈夫」
「ルシウス先輩?お楽しみのところ申し訳ございませんがなまえが風邪をひいてしまうかもしれないので良いですか?」

振り返ると笑顔でタオルを手に持ったレギュラスがいた。笑顔っていっても笑顔じゃないんだけど、ルシウス先輩はそんなレギュラスに舌打ちしながらタオルを奪い取る。あぁ、仲悪いなぁもう。そんな空気に黙り込む私の頭をレギュラスがタオルで包み込んでわしゃわしゃと拭いてくれる。

「レギュ、ありがと…」
「こんなことだろうと思ったよ。気にしなくていい。それよりも風邪引くぞ」
「なまえ」
「う」

ルシウスに後ろから抱きしめられるようにタオルでくるまれて頭を撫でられた。あ、優しいルシウスに戻った。じっと見つめるとどうした、と頭を撫でられる。このときがわたしは一番幸せで、ルシウスと離れたくないって一番強く思うんだ。

「あのねー」
「あぁ」
「スリザリンで良かったなって」
「そうか」
「あのー僕のこと空気にするのやめてもらえませんか」


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あきゅろす。
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