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ギャップってずるいと思う

最近のわたしの悩み。
ルシウスさんの、髭が、かっこよすぎる。

ルシウスさんと私の関係は…平たくいえば死喰い人の先輩後輩。もう少し突っ込んでいえば、遠い親戚。私はルシウスさんの奥さんであるナルシッサさんの親戚の親戚の従姉妹の娘とか、それくらいの関係。だからこんな若くて下っ端の私でも一応、ルシウスさんと面識があったり帝王に将来を買われているわけなのだ。
それを私と同世代の友達は羨ましがる。ルシウスさんと気軽にお話しできるなんてずるい、と。決まっていつも私の答えはルシウスさんのどこがいいの?だった。皆が騒ぐようにルシウスさんの魅力が理解できなかった私。私はどちらかといえばワイルドな男性が好きで、だいたいルシウスさんなんて妻子持ちだし、それなのに浮ついてるし…強いし家柄も申し分ないけれど、見た目も中身も好みじゃなかった。なのに、アズカバンから出てきた無精髭を蓄えたルシウスさんは、正直…めちゃくちゃかっこいい。と私ですら思う仕上がりなのだ。

「あのールシウスさん」
「なんだ」
「髭、剃りませんか?」
「その時間が惜しい」
「じゃあ剃ってあげるから、剃りませんか?」
「…お前が私に触れたがるとは、珍しい」

ルシウスさんは食い入るように眺めていたホグワーツ内部の図面から顔を上げ私をジッと見つめる。その表情は好奇心に満ち溢れていて、少し意地悪な微笑みを浮かべていた。

「触れたがっている訳ではありません、ただルシウスさんらしくないその髭が気になるんです」
「思ったよりも好評だ」
「好評、ですか。そうですか」
「そう妬くな」
「は?妬いてませんけど?」
「顔に書いてあるぞ」

くそ、いつもならいくらでも言い返せるのにあながち間違いじゃないから言い返せない。ルシウスさんはいつの間にかまた図面に視線を向けていて、一人で意識してる私が阿呆らしくなってくる。でも2人で作戦を考えるなんて無理だ、確かに私はホグワーツを首席で卒業したけどそれは本当に偶然だ。私の学年にはルシウスさんやシリウス・ブラックや、ハーマイオニー・グレンジャーのようなスタープレイヤーがいなかった、それだけのことなのだ。

「ルシウスさん、私の作戦よりルシウスさんが一人で考えた作戦のほうが絶対良いので、私は寝ます」
「…なまえ、お前はどうしてそうも失礼なんだ」
「失礼じゃありません、…だから、その髭剃らせてくださいよそしたらもう少し集中できますから」
「…こっちへ来い」

あ、やばい、怒られるのか?と思ったけどルシウスさんは杖を出す気配もないし、疲れているのか殺気立ってもいないから、私は大人しく椅子から立ってルシウスさんに近付いた。なんですか、と聞こうとする前にルシウスさんにぐいと腕を引っ張られて座っているルシウスさんの身体に倒れ込んでしまう。

「な、何…」
「静かにしろ」
「っ」

ルシウスさんは私の唇を強引についばんで、抗議しようとした私の口にむりやりに舌を侵入させてくる。言葉にならない言葉を発する私に至って冷静なルシウスさんの手が腰に回された。いや、ルシウスさん、ワイルドすぎる。ちょっとこのギャップは、やばい。

「ちょ…」
「これで満足か?」
「は?!なにがですか!」
「集中できるようになったか?それともまだ足りないのか」
「いやいや、なんでこれで集中できるんですか…!」
「私に触れたかったんだろう?」
「ち、違う…!」

ルシウスさんはもう私の抗議を聞いていないようで、紅茶をすすりながらまた図面と睨めっこして何やら書き溜めた羊皮紙を捲っている。やっぱり私だけ気にしてるみたいで悔しい、から頭をフル稼働させて作戦を立てたらルシウスさんが笑いながら効果があったな、とか言うからなんかもう、そういうことじゃないのにうまく嵌められている気がする!…でも、正直嫌だったとは言えないのがまた辛い!



(20130902)

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