TOV短編
RaY
会話文。
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R「やっぱりベタベタよね…」
Y「おっさんの皮脂の話か?」
R「何で第一声がそれなのよ。何がとかじゃ無いの普通」
Y「おっさんがベタベタとか言うとそれしかねぇだろ」
R「すっごい失礼」
Y「で。何だよベタベタって」
R「ベタはベタよ。お約束ってやつ」
Y「…そっちのベタか。ベタが何だって?」
R「やっぱりベタなシチュエーションって良いなって思って。おっさんもパンくわえて走って曲がり角でユーリとぶつかりたい」
Y「いつの漫画だよ」
R「ジャムべったりなトーストがユーリの髪とかに付いちゃってさ、最悪の出逢いな訳よ」
Y「おっさんジャム塗らないだろ。甘いし」
R「そんで、どこ見てんだよ、そっちこそ、ジャム付いちまったじゃねーかどうしてくれんだ、おっさんの朝食どうしてくれんの、って」
Y「………」
R「ユーリが怒って行っちゃうのね、急いでるからとか言って。で、俺も遅刻しそうだから行くの」
Y「今更だけどナチュラルに学パロなんだな」
R「どうにかHR始まるギリギリに教室入って、担任が来て、今日は転校生がいるんだって言って」
Y「…ベッタベタだな…」
R「転校生はユーリな訳よ。あー青年さっきの!あーあんたさっきの!何だお前ら知り合いかーじゃあ席は隣なー、よね!」
Y「で、教科書見せたり筆記具貸したりか?」
R「そう。ロマンじゃない?同時に消しゴム使おうとして手が触れ合って、あっ…的な」
Y「校内案内させたり?」
R「そんで冷やかされたり!」
Y「何故か体育倉庫に閉じ込められたり?」
R「実は暗いとこ怖いユーリが抱き着いて来てドキッ、寧ろムラッ、みたいな!」
Y「無いな」
R「解ってるわよ、ユーリ暗いとこ平気だもんね。どっちかっつーと好きでしょ」
Y「闇の仕置き人だしな」
R「ねーときめかない?ベタって凄いよね。古いとか言いながら何だかんだ好きなのよ皆、こういうの」
Y「否定はしねぇけど、オレ達じゃ無理だろ。歳的に」
R「だよねー…ユーリならまだギリ学生イケる歳だけどおっさんは無理よね」
Y「大体ベタって必要か?」
R「ちょっ、否定はしないって今言ったじゃない」
Y「オレ達結構ベタな出逢いしたと思うけどな。これ以上が要るかよって言ってんだよ」
R「……そうだっけ?」
Y「そうだろ。牢から出して貰って、行く先々で遭遇、オレの初赴任地でニアミスを繰り返し、挙句遠い昔の初恋の相手。これってベタじゃねぇ?」
R「………」
Y「ベタってつまりは因果率、運命、みたいなもんか?全部を運命で片付けるのは嫌だけど、自分に都合の良い運命なら大歓迎だな」
R「ユーリは、おっさんと出逢ったの、自分に都合の良い運命だと思ってるの?」
Y「そうじゃ無きゃ恋人やってねぇだろ」
R「…やっぱりベタって良いわ」
Y「色んなパターン有るしな。あんたが言ったのも、実際のオレ達の出逢いも、ベタの中の1つのパターンだ」
R「何だかんだ王道なのね、俺達。結構イレギュラーだと思ってたけど」
Y「つーか、恋愛なんて結局みんな似た様な流れになるんじゃねぇか?幸せになるって結末が一緒なら、何だって運命と思えんのかもな」
R「単純な様で奥が深いのねベタって。甘く見てたわ」
Y「だな」
R「…ね、ユーリ。ベタシチュで1個やりたい事あんだけど」
Y「嫌な予感しかしない」
R「そう身構えないでよ。ただ、転んだ拍子にあちこち触っちゃって、あんっ、ムラッ、かーらーの?…がやりたいだけだから」
Y「身構えるだろ。何がただだよ」
R「良いから良いから、はい転ぶよー」
Y「押し倒すよーの間違いだろ」
R「えいっ」
Y「……っ!」
R「おおーっとぉ、転んだ拍子にユーリの胸元にチューしちゃったぞぉ」
Y「ン、…」
R「……。かわい。えろ。止まんね。ベタ展開侮り難し」
Y「あんたはいつも止まんねぇだろ…」
R「そうね。勿論今回も止まる気は無いわよ。頂きまーす」
Y「あ…っ」
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だから何、という訳では無い。←
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