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TOV短編
RaY
学パロ。

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「見事な曇天ね」

「織姫と彦星、今年は会えませんね…」

「あんたね…、その歳でそんな事言ってんのあんたくらいよ?」


薄いドアの向こう側、廊下の会話が聞こえる。

どんよりと曇った空を見上げて、純粋な女子生徒は残念そうに溜め息を吐く。

親友の現実主義な女子生徒は、その純粋さに溜め息を。


「…雨が降ったら会えない、なんてさ。空の向こうに雲も雨も無いのにね」

「寧ろ誰にも見られないのを良い事に、好き放題やってんじゃねぇの」

「俺達みたいに?」

「ん」


膝の上に乗っかる細い躰をぎゅっと抱き締めて、近付いた唇にキス。

…誰にも見られないからこそ出来る事って有るでしょ。

こういう事とか、もっと凄い事とか。


「ユーリ、」

「良いぜ。…曇ってるからな」

「流石俺の織姫様。以心伝心?」

「あんたの考える事は解り易いんだよ彦星様。つーか顔に出てるし」


シャツの裾から入り込んだ手が、滑らかな肌を辿る。

ぴくんって躰が跳ねたのに気を良くして、元々開き気味の胸元をもっと開いた。













曇天の向こう、秘密の逢瀬













(あっちの夫婦も、実は晴れない方が都合良かったりしてね)
(かも、な…、っン)
(…声出して平気よ?)

(雨の音が消してくれるから)













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突発七夕小咄。
冒頭の女子生徒は勿論あの2人。

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あきゅろす。
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