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TOV短編
RaY

こほっ、けほっ。

隣のベッドから聞こえる、控えめな咳。

同室の俺達を起こさない様にって気を遣ってるんだろう。

本当は上手く呼吸出来ないのが苦しくて、もっともっと大胆に咳したい癖に。


「ユーリぃ」

「!…んだ、よ、っ、…さん、」


ほら、いつも通り取り繕う事さえ出来ないのに。

無理にちゃんと喋ろうとするから、さっきより苦しそうな感じになっちゃったじゃない。


「ちゃんと咳しないと呼吸整わないわよ」

「う、…っせ…、余計な、お世話、だよ」

「…、全く」


意地っ張り、でもそれは、優しいからで。

その優しさがユーリの良いとこで、俺の好きなとこで。


「ユーリ、体起こして」

「なん、で」

「背中とんとんしたげる。ほら、起こして」

「…、ガキ扱い、かよ」

「俺にとっちゃユーリはガキよ。14も歳下なんだから」

「……」


ガキ扱いが嫌な訳じゃ無いんだろう。

だって素直に体を起こしてくれる。

細い背中に手を這わせて、ぽんぽんって叩いたら、それに合わせてちょっとずつ咳をする。

けほ、こほ、

ちょっとずつちょっとずつ、息を整えていく。


「あんま無理しなさんな」

「っ、して、…ねぇ」

「その声、明日喋ったら風邪引いてんのばれるわね」

「…大袈裟、なん、だよ」

「大袈裟で良いの。ユーリが大好きだから、みんな」



かさかさの声とか、


治まらない咳とか、





我慢しないで?













大好きだから、心配させて













(…声はおっさんの所為もあるぞ)
(あれ、昨夜そんなに張り切ったっけ?)
(あれで張り切ってなかったのかよ…)













――――――――

相変わらず声が酷いですorz
ユーリの声が酷い理由は風邪+あんあん。←

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