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合理的な空間がナタリアの居場所だ。

一人ではなく共に最善を考えていく、意見が共存しあう場がナタリアの唯一なのだ。



しかし、アスラン・フリングスがナタリアを狂わす、崩す。



「あの方が笑うと、何かが私から落ちてしまう気がするのです」


ナタリアは掌を一度握りしめると自身の顔を覆った。


ナタリアの辛さや醜さや思考全て受け入れることが出来るフリングスにナタリアは恐怖を覚えるのだ。


「彼は酷く優しい」


ナタリアは自らをぐらつくことなく支えている各方向からの圧力から一歩外れ、彼に全てを委ねて甘えたいと思っている自分に気が付いた。


彼の存在は甘美だ。

味を占めたら手放せなくなる。
その温かい場所にいたら抜け出せなくなる。


「私ではなくなってしまう」


ナタリアの唸るような小さな悲鳴に、それを静聴していたピオニーが皮肉に笑った。


「ナタリア姫、それはとても簡単な気の問題だ」

楽しそうにナタリアの顔に指差し、椅子から身を乗り出して笑う。

「ナタリアにとって必要な存在があいつで、ナタリア姫にとって煩わしい存在があいつだ」


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なあそうだろう、お姫様。

なっちゃんにはただ守られているだけの場所にはいて欲しくないけど、辛い思いをしないでずっとぬるま湯に浸かっていて欲しくなるときもあります。
なんてジレンマ!

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あきゅろす。
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