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手を振って可愛らしく笑うその娘に別れを告げると、ため息をついて屋敷の外に立ったままその姿を見送る。
彼女の後ろ姿に、失礼に思いながらも別の女性の姿を重ねている自分にガイは苦笑をもらすしかなかった。

そういえばかなりの間その女性に会っていないなと思う。
女性は公務で自国を巡っているのだ。


「俺は、あの子に会いたいのか」


少しだけ驚きながら娘が見えなくなるのを見詰めていると、同じ道から人の群がやってくるのが見えた。
ガイはそれを認めるとフッと笑ってその中心にいる女性に視点を合わせた。

彼女はこちらに気が付くとパッと嬉しそうな表情をして一瞬無邪気に近寄ろうとするが、また直ぐに気を取り直して周りにいる兵士に合わせて歩きだす。

ガイは可笑しくなって笑みを零した。

きっと彼女は此処にたどり着いたら可愛いげなく未来の主人のお迎えまでするなんて使用人の鏡だと褒めてくるのだろう。

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なっちゃんはガイにとって眩しい眩しい太陽だったらいい。

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