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蝶よ華よと育てられたかのようにそれは初な女の子に育ちましたとさ、とルークは頭の中で完結してから口に出して言ってみた。


「あいつは箱入り娘か」


ガルディオス伯爵家に新しく入った見習いの庭師に何らかの誘いを受けているメリルを窓内から眺めていた。
顔を赤くして困惑しているメリル。
強引ではなくメリルの気持ちを組みつつも優しく誘う庭師。
紳士的に振る舞う庭師に赤みを増してきたメリルに、押し切られるなとルークが思ったとき、窓が開かれて隣にいたガイラルディアが顔を外に出した。


「メリル。こっちにおいで」


庭師に牽制しつつガイラルディアが声をかけると、メリルが戸惑いながらもこちらに向かってきた。
ルークの姿を見つけていくらか弾んた調子で小走りをするメリルにルークはため息をつくと、一度や二度他の男と出掛けさせてやってもいいだろと言葉を漏らした。


「なあガイ。俺はお前をいい友人だと思っているけど、いい男だとは思ってねえよ」

「それは心外だなルーク」


大袈裟にため息をついて見せたガイラルディアにルークは鼻を鳴らす。


「お前がそんなんじゃメリルに相手を選ばせることが出来ないだろ」

「……そんなの構わない」


ガイラルディアは優しくメリルの方を見据え、俺は俺の持てる全てを使って彼女を俺に繋ぎとめておく、と宣った。
だからお前はいい男にはなれないんだ、とルークはメリルに憐憫の目を向ける。


「彼女がどんなに強情張ったって、俺以外選ばせなくしてやるよ」


優しい優しい彼女はこの男によって不幸が決定されたのでした、とルークはまた一つ頭の中で物語を完結させた。




end
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いい男ガイ。
notいい男ガイラルディア。


あきゅろす。
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