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ルークは故意に目を逸らすと、しかしナタリアはそれに小さく笑っただけだった。
先程の話の続きを始めたナタリアに彼女も自分から目を逸らしたことに気付く。
「……お前、目を合わせて喋れとは言わねえのな」
そういうの厳しそうなのに、と言うとナタリアは苦笑して言った方が宜しいでしょうかとこちらを見つめてきた。
「確かに目を見て会話をするのは礼儀かもしれませんが、苦手な人だっているだろうし絶対的なものではありませんわ」
効率的なのは会話しながら作業することであると考えることも出来るし、相手の目を見るのは目上の人に失礼だという王国もありますもの、とナタリアは笑う。
「……それに、」
「なんだよ」
「私の目ってきついでしょう。だから威圧的なのか目を逸らす人も多いですわ」
ルークは結局のところナタリアがその最後に言った言葉を気にしているのだということに気付いた。
ため息をつくしかなかった。
そんなことはナタリアの気にするところではない。
「それはお前の目が綺麗だからだ。見た奴は、自分が汚く見えるんだ」
――俺とかな。
そう呟くと、そうだろうかと彼女は目を伏せた。
ルークは自分が目を逸らすと多くの者は嫌な顔をすると言った。
それはその者が培ってきた常識なのだから仕方のないことだとナタリアは言い、寧ろ自分は逸らされる方なのだから辛いと言った。
「まあ、そんなんはどうでもいいわ」
沈黙が訪れた後、鼻を鳴らしてルークはナタリアの手を掴んだ。
「必要に迫られれば目だって見るし仕事だってするし嫌いな相手とだって抱きしめて挨拶してやる」
「……捻くれ者から頼もしい発言が飛び出したものですわ」
「それにどんな時だってお前に触れたいと思う気持ちがなくなってる訳じゃねえしな」
くつくつと笑ったルークにナタリアは顔を赤らめ視線を向けて話になりませんわ、とため息をついた。
end
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分かりづらいですね…。
最後なっちゃんがルークに視線を向けたことで、自然と瞳を交わしたくなる時がくるということを言いたかったんですが、できなかったです。
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