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水がひかれたビニールハウス。
観葉植物園のように綺麗な葉や花が並び、ナタリアはその色とりどりに実るそれらの光景に唇を引き下げた。
「この臭いは薬ですか」
或は毒になる物ですわ、と鼻を手で被ってナタリアは後ろにいたジェイドに目を向けた。
「おやおや、お姫様はそのような知識もおありでしたか」
関心したように頷くジェイド。
昔ガイに教えていただいたことがありますの、と呟いたナタリアにどのような意図がガイにはあったのでしょうねとジェイドは笑った。
「それにしてもあの狸は自身の右腕に酷いことをさせますわ」
「……命を救う特効薬を作っている可能性もありますよ」
「名目上はそうでしょうが腹黒狸は暗黙のうちに貴方に強要することは他にもあると思いますわ」
ナタリアはジェイドの横を通ってそこから抜け出すと観賞用の鮮やかな花が咲き乱れる庭園へと足を向けた。
よくもこんな素敵で無益な場所に、あんな汚く実用性のあるものを隠したものだと後ろからひょうひょうと着いてくるジェイドを横目に見つつナタリアは思った。
「貴方が狸、いえ皇帝のことを第一に考えいるのは理解してます」
「おや、気持ち悪いことは言わないでくださいよ」
「茶化さないでください。だから貴方が悪いことをしていると分かっていても皇帝のために行わなければならないことは沢山出てくるのでしょう」
楽しそうに笑うジェイドの声がナタリアの鼓膜を震わす。
それがどういう意味を持っているのか分からないがナタリアはそれも相手の好きなところだった。
「だから貴方が貴方のしていることに一瞬でも疑問を持ったら私に相談なさい」
「ナタリアにですか。それはマルクトの秘密をキムラスカに流出するようなものじゃないですか」
「そうですわ。国交が全面的に開かれた今や皇帝がおかしなことを始めては共倒れの可能性が出てきますもの」
だからジェイドがおかしな事を始めてしまったらその時は私がジェイドを殺めてでも止めてさしあげますので任せない、とナタリアはジェイドを振り返りながら笑みをこぼした。
「私も愛されたものですね」
「当たり前です。貴方だけ悪者にはして差し上げませんわ」
end
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私のやり方ですきな人を全力で守りましょう。
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