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「私もルークも飼い馴らされた鳥籠の鳥なのですわ」


ナタリアはギンジの愛機であるアルビオール3号を撫でると愛らしく笑った。
ギンジは工具の入っている箱に腰掛けながら布で汗を拭い、そう口を開いたナタリアを下から見上げる。


「だから私たちは貴方のその彼方まで飛んでいってしまえる自由な生き方や心に憧れるのです」


――憎らしいほどに。


ナタリアの言葉を聞き終えたギンジは苦笑すると布を首に掛けてナタリアから視線を外した。
設計図の羊紙を隣に置いてあったケースにしまい込むとパチンとそこに音が呼応する。


「それ以上は何も言わないでくださいね。それを言ったら貴女は貴女の進まなければならない道を嫌悪していることになってしまう」

「…………」

「全てが定められたなんてことはないんですよ。ナタリアさんが選んだ結果です」


ギンジが顔をナタリアに戻すとナタリアもギンジを困り顔で見返していた。


「大丈夫ですよ。ナタリアさんは様々な場所で羽根休め出来る空に舞う鳥です」


にこりと笑ってギンジが立ち上がるとナタリアは抱き着こうと近付いてきた。


「おいら今臭いですよ」

「羽根休めです」


泣きそうになりながら顔を埋めてくるナタリアにギンジは笑って宥める。


「はい。だから、おいらでも捕まえることは可能なんです」





end
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不思議そうに見上げてくるナタリアにギンジはまた笑みを零した。



あきゅろす。
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