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ぼけっと少し長くなった髪を見詰めながらルークはその髪を引っ張ってみた。
ふわふわとした髪が指に絡まって心地良くなり光に映える金色の髪を軽く梳いてみる。


「なあお前さ、髪切らねえの」


そうルークに問い掛けられたナタリアといえば初めに引っ張られた痛みから眉根を寄せて振り向くと、悔しそうにルークの髪を掴みかえす。


「私には長い髪は似合いませんか」

もしそうだと言うのなら遠回しに言われても傷付くことには変わりありませんし言わせていただければ貴方のその整えもせずに延ばし続けている髪の方が幾分もはしたないですわ。そんな貴方に何も言われる筋合いはありません、とまくし立てる彼女にルークはナタリアが怒っていることを知り唇を歪めただけの笑みを返した。

ルークもナタリアも大概目の前にいる相手に対しては沸点が低い。
それが甘えからくるものだと分かっているだけに悪い気はしないのだ。


「長い髪は嫌いじゃねえけどさ、お前さっきメイドに髪を梳かせてただろ」

そうですが、と目を瞬かせて首を傾げるナタリアは何年も毎日そうやって整えてもらっているのだろう。
しかしルークは、彼女のルークでさえ知らない舞台裏を見たような気がしたのだ。


「それ見てたらな、メイドの手かお前の髪、切り落としたくなった」





end
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だって俺のだし。
長くなるだけ触れられる時間長くなるし。



あきゅろす。
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