リクエスト作品
家族ごっこ


「Hey!prostitute.What's wrong with you?」

「――Get away!Stupid!」

「Breathe heavily had a penis in the lower half of the body's mouth.」

「Kiss my ass!Lax below the navel...rocker.Leave me alone.」

「Oh!A dashing horse.」

「Who?貴方は汚い言葉しか知らないようですわね」

「Son of a bitch!好き勝手云いやがって」


その娘に会った時に交わした言葉は大体そんな感じだ。

娘の倒れている場所からは燃え上がる城が見えており、それに関わる者だということはたやすく考えることができた。
力を振り絞って威嚇する娘ににやりと笑うと、嫌がる娘の胸倉を掴んで荒く馬に乗せた。





「Don't make a fuss.」





拾ったばかりの犬が、朝から吠え立てて布団の上にまで座り込んできたので伊達政宗は唸りながらそう云った。

重てえんだよ起きたらさっさと部屋から出ていけこの雌犬が。
云ってしまいたい詞を面倒臭くて飲み込むと躯を横に傾けて犬を布団から落とす。
そうしたら犬は滑り落ちて尻餅を付いたらしく騒がしく鳴き始めた。


ああこりゃあ駄目だ。何したって煩くなるのには変わりねえ。


「煩せえな。飯でも食いに早く出てけ」

「ばうわう……とでも返事すると思いましたか」

「鳴いたじゃねえか」



雀がさえずり、屋敷内で働く人々の慌ただしく走り回る音が微かにする。
目を開ければ障子の向こうは未だ暗い闇が広がっており、しかし己自身も起きなければならない時刻であるということはよく分かっていた。


――だが、起きたくないものは仕方ねえ。


「朝餉になりますわよ」

「おおい、ふざけるなよ雌犬。テメエより分かってる」


こっちは寝所に他人がいて安眠もできねえっていうのに、と苛々しながら拾ったばかりの犬の会話に付き合ってやる。



犬はまた布団にのしかかり、今度は振り落とされないようにと掴まられた。
じろりと睨み据えても何食わぬ顔して起きてください、と云われる。


人で愉しんでいるのが気に入られねえ。
上位階級者である、刀を持つ者の上に乗るということは力を示しているのと同じだ。
それをこの金髪の犬は分かって用い、苛つかせくる。



朝から犬の侵入を易々と許す訳もなく――いきなり入ってきたら誰でも関係なく叩っ切る――寝所が同じだから避けれねえだけだと己に云い聞かせて耐えた。



拾った犬をそこらにある部屋に放置していたら、此処は男しかいないから結構の獲物となった。
だが残念なことに犬の家では夜這いの文化がないらしく、甘い気持ちで向かう奴らが――まあ大半の奴らだ――いつも半殺しになって朝を迎えていた。

一部隊全滅になるか賭けていたところ数日前、憔悴しきった犬が俺の所におしかけてきて寝床を奪った訳だ。
その時は命しらずな犬に仕方なく半分布団を譲ったが、その日から犬は決まって人の部屋に訪れるようになってしまった。

褥を共にするなどという薄気味悪いことは絶対にしないが、毎度のこと部屋の所有権を云い争うのに疲れ、今は隣に寝かせているという訳だった。



いつも一寸離れたそこに犬は寝ている。
しかし己以外は信用などならないから隣の気配に敏感にならざるを得なく、寝ることができないのだ。
それでも朝起きると部下に生暖かい目で見られるのだから苦痛以外の何ものでもない。



早くどこかへ行って、そして昼まで寝かせろよ、と思うのは当たり前のことだ。

しかし、犬畜生はそんなことなどお構いなしだ。


「狩りに行きませんか」

「…………」

「ねえ行きましょう」

「……お前一人で行け」


別に狩りに行かなければならないほど切羽詰まった生活をしている訳ではない。
勿論、娯楽の一貫として犬は誘っているのだろう。


犬が暇なのはよくわかったが、それは犬が何の役にも立たないからだ。

この前、調理場から叩き出されていたのを見ていた。
その隣で自分用の握り飯を握っていたところを羨ましげに見学していたことからしても、まったくの役立たずということが窺える。


「貴方でないと競い甲斐がありませんわ」


布団を揺する犬。それに応えずに目を瞑る。

――苛立っている程今は眠いから。
それだけの理由なら良い。

しかし伊達政宗自身も扱い、どちらかといえば得意としていた和弓。
その的当ての勝負をした時に、この犬に惨敗を記したのだ。


何処から来たかも知らねえ外来にやられ、やってられねえ、と思うのは普通だろう。


「犬風情が。勝手に外で走り回ってろ」

「まあ、犬いぬと先程から煩いですわね。そういう貴方は雄犬ですか」

「てめえ……」

「本当、こんな良い女捕まえてよく云いますわ」


本当に、女に跨がられて良い眺めだというのに、それががさつな金色の――しかも短い――髪の女というだけでこんなにも萎えるものだとは思わなかった。


「おい女、降りろ」

「あら、名前は何度も申し上げたはずですが」

「…………」

「はいはい、解りましたわ」


滑り降りるように娘は降りると、しかし顔を近付けて一向に部屋を出ていこうとはしない。


伊達政宗が危惧するのは娘が何者か解らないということのみだった。
自分で拾ったのだから直ぐに捨てればよいのだが、部下に気に入れられている者をまた簡単には捨てることはできない。
邪険に扱うこともまたしかりだ。

様子を窺う限り伊達にあだなす者ではないことは解る。
むしろ女自身も不本意に連れてこられた身だ。
危険因子ではないことは解っている。


しかし、相手の情報は何一つないことには変わりないのだ。


やはり追い払うべきかと考え、そこで考えることに疲れた。


少しでも己に危害を加えようと企てる、殺気を放つ、刃物を持って目の前に現れる。
その時がくれば即座に殺れば良い。

今から考えているなど性に会わない。


少しだけすっきりとした想いで目をつむったが、そうは思っても警戒が解けることはない。


「おい、お前はいつまでそこにいるつもりだ」

「貴方が起きるまでですが」

「……ああ。じゃあお前も寝ろ」


仕方なく布団に引っ張り込めば、女は目を瞬かせ驚いたようだったが、楽しそうに目を細めると唇を持ち上げた。


「無防備ですわよ。私が小刀でも持っていたらどういたしますの」

「口の減らねえ女だな」


挑発されたので着物の上から身体をまさぐって確かめてやると、女は顔を赤くして慌てていた。


「阿保。何考えてやがる」


何も持っていないこと確認すると、何も出来ないようにと女を抱き抱えてそのまま眠りについた。





「……二刻だけですからね」

「俺に意見するんじゃねえ」






End

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前に書いた佐ナタとリンクしてても良いかな、と思いながら書きました。
なかなか噛み合わず言いたいことを言う二人は楽しかったです。
英語のところは罵り合っているだけですのでスルーしてくださってかまいません。あ、でも、文法間違っていたら教えてくださると嬉しいです。

マサキさま、リクエストありがとうございました。


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