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novel
野良猫5

海軍本部で下ろしてもらってシオンはその辺を彷徨いていた。

「あ、人発見」

「…なんだ猫か。…何故喋るんだ?」

「まあ気になさんな」

見た目の割には優しく頭を撫でるクロコダイルにシオンは喉を鳴らす。

「そういやどっから入って来た?」

「そんな事気にしてたら禿げるよ」

ケラケラと笑うシオンのヒゲを引っ張った。

「痛い痛い!」

「ちったぁ黙れよバカ猫が」

口の悪い人間だな、と言えば人の事が言えるか、と返された。
しばらくの間頭を撫でられていたが、シオンはふと思い出したように口を開いた。

「そういえばアラバスタって最近雨降らないんだよね?」

「…あァ、そうだな」

なんで知ってやがると訊ねるとシオンは「僕は字も読めるから、駐在所で新聞とか読んでいたんだよ。だからある程度は知識あるんだ」と答えた。

「じゃあ暫く住まわせてくれない?雨は嫌いでね」

「…クハハ、そうか。なら乗ってけ」

機嫌良さそうに笑い、クロコダイルはシオンの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

「おい猫、名前は?」

「シオン。君はクロコダイルだろ?手配書で見た事がある」

クロコダイルが手配書に載っていたのはずいぶんと前の事だが、アラバスタの天候すら知っているのだからそれもおかしくはないだろう。とクロコダイルは思う事にした。

「じゃあシオン、暫く待ってろ。おれァまだ用事が済んでねェからな」

「そっか。じゃあクロコダイルの船で待ってればいいね?」

「そうしてろ」

そう言い船の場所を教えるとクロコダイルは歩いて行ってしまった。

シオンはくぁ、と伸びをして、クロコダイルとは逆の方向へ歩き出す。

「暫くは濡れる心配はなさそうだね」

そう言って、シオンはゆらりと尻尾を振った。


end
アラバスタはクロコダイル寄りでいきます。

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