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novel
野良猫1
「やぁスモーカー」

名を呼ばれてスモーカーは立ち止まる。このローグダウンで彼の名を呼び捨てにするのはただ一人…否、一匹。

「なんだクソ猫」

「相変わらずだねぇ」

ケラケラと猫、シオンは塀の上で笑った。
いつの間にかこのローグダウンに居着いた猫は人間の言葉を当たり前のように話す。

「50年生きた化け猫が人語を喋って何が悪い?」

「何で猫が50年も生きるんだよ」

20年くらいがせいぜいじゃないのかと問えばストレスなく過ごしたからという言葉が返ってきた。

「ああそうかいそりゃ良かったな」

「年上は敬いたまえよスモーカー君」

「誰が猫なんぞ敬うか」

ギロリと睨み付けるとそりゃそうだ、とシオンは笑ってゆらゆらと尻尾を揺らした。

「そうそう。そんな可愛げのないスモーカーに一つ警告」

「あぁ?」

オッドアイの目がすぅっと細められ、シオンはいつになく真面目な声を出した。

「明日の海は荒れるよ。注意した方がいい。…僕の勘はよく当たるからね」

ゴール・D・ロジャーもびっくりさ、と笑いながらスモーカーの肩に飛び乗った。

「なんだ」

「いやぁ案外乗り心地良いなスモーカーの肩って。もう暫く乗ってもいいかい?」

「ふざけんじゃねェ。おれはもう行く」

「あ、そ。じゃあ嵐にお気をつけて」

オッドアイの黒猫はそう言ってひらりと塀に飛び移り、姿を消した。



全ては麦わらのルフィがローグダウンへやってくる前日のお話。


end

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あきゅろす。
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