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その9

第一練習試合が終了した後、何やら沈んだ顔の男女が二名。




夢「う、怒られた」


仁「こらまたこっぴどく叱られたもんじゃのぅ」


ブ「くそデカい声だったもんな真田の奴」


赤「ああもう先輩があの後また二回くらいドリンクぶちまけっから…」


夢「すん、怖かった真田君、の顔


ブ「顔、な…」


赤「あの人の顔なら年中無休で怖いッスよ」


夢「あーん、真田君ってば声が大きくて鼓膜が痛い」


仁「おーよしよし」


赤「先輩はまだマシじゃねッスか、俺なんか殴られて顔腫れちまったッスよ」


ブ「ぎゃはは、ひでー顔」


赤「笑わなくたっていいじゃないッスか」


仁「はは、赤也まるで大福みたいじゃー」


ブ「大福のが何倍もうまそーだろぃ」


赤「それは遠回しに俺の事まずそうって言ってんスかね」


ブ「え何お前、うまそうって言われたいわけ?きしょー」


赤「や、別にそういうわけじゃ」


仁「男に喰われたいんじゃって赤也、なかなかイヤンな趣味持っとるのう」


夢「びーえるだね、びーえる!」
 
赤「ちょ、誤解招きそうな事言わないでくださ、」


?「お、立海レギュラーたちじゃん」


?「なんやけったいな話しとるなあ」


夢「お?」


赤「あ、お前ら」


ブ「氷帝のダブルスメンバーの奴らじゃん」


仁「あれじゃろ、向日っつーのと…えーっと」


忍「名前くらい覚えたってえな」


岳「ははっ、名前忘れられてやんのー」


夢「しのびあし君!」


忍「…は?」


赤「なんスかそれ」


夢「丸眼鏡の人の名前っ」


ブ「え、そんな名前だったっけ」


夢「うん、だってしのびあし君が背負ってるテニスバックにちゃんと名前書いてあるの、発見しちゃったんだもん!」


岳「ぶっ…」


赤「名前…?」


忍「あんなぁお嬢ちゃん、これは“しのびあし”とは読まへ、」


ブ「あ、マジだ」


仁「ちゃんとしのびあしって書いてあるぜよ」


夢「でしょ!」


赤「なんかコソドロみたいな名前ッスね」


忍「だからしのびあしちゃうって」


仁「そういやしのびあし君、コソドロみたいな顔しとるしのう」


ブ「あー言えてる」


忍「ちょっとこら失礼やで」


岳「ははっ、いいじゃんしのびあし侑士」


赤「忍び足…、なんかRPGやりたくなってきたッス」


ブ「オタクだなお前」


岳「オタク度なら侑士だって負けてねーぜ!」


忍「そんな自慢げに余計な事は言わんでええんやでがっくん」


夢「しのびあし君、オタクかー」


仁「しのびあし君、オタクみたいじゃのー」


忍「ところで仁王お前さっきから俺の本名分かってて言っとるやろ」


仁「プリッ」


夢「えっ、本名違うの?」


忍「え、今更…?」


赤「んじゃあ、にんそく?」


ブ「は、ニンニク?


夢「ニンニク!」


仁「……ぷっ、……っり」


忍「ちゃうよ全然ちゃう、つーか仁王笑いたきゃ笑えばええやろ!」


仁「はっはっはー」


忍「いちいち勘に障るやっちゃな」


岳「まあまあ落ち着けよ侑士ー」


忍「がっくんフォローしたってぇな…ぐすん」


夢「よしよし落ち込まないで元気出してよ…えんそく君
 

忍「誰が遠足やねん」


ブ「おお、ツッコミへの切り替えはえー」


岳「さすが侑士だぜ」


仁「見習わんとなー、赤也」


赤「な、なんで俺なんスか」
 
岳「お前らあんま、侑士いじめんなよなー」


忍「がっくん…」


岳「こうみえても侑士、ラブロマンスの映画で泣き出すくらい繊細な心持ってんだからよっ」


忍「さすが俺の相棒や、がっくん愛しとんで!」


赤「…ラブロマンスで……泣く?」


ブ「格好わりい所オープンなんだけど、いいのこれ」


仁「本人気付いてないんか、アホじゃな」


夢「わあ、びーえるだびーえる!」


赤「ところで先輩さっきから思ってたんスけど、それあんまおっきい声で言わない方がいいと思うッスよ」


仁「奴は赤也と同じ部類か…」


夢「意外と多いんだねっ」


赤「多いもなにも俺違うし。めっちゃ先輩たちの勘違いだし」


ブ「いっそお前ニンニクとくっついちゃえば?」


忍「ニンニクちゃうよ!」


赤「ああもう今だけはツッコミから逃れられるかと思ったのに台無しだ」


岳「楽しそうだなお前ら」


赤「これのどこが楽しそうに見えるんスか」


仁「なんじゃー赤也、俺らといるんがつまらんって言うんか」


夢「赤也君、楽しくないの?」


ブ「あーひでえ奴」


赤「酷いのはどっちッスか」


仁・ブ・夢「そっち」


赤「普段協調性のカケラもないくせにそういうところだけは息ピッタリなんスね」


ブ「うっせーぞビーエルのくせに」


仁「そうじゃそうじゃ、このビーエル」


岳「はははっ」


赤「人の話くらい聞けよ…」


岳「やっぱお前ら楽しそうだなー、なあなあところでびーえるってなんだ?」


赤「え、」


仁「なんじゃ知らんのか、純粋ボーイじゃのー」


ブ「今時珍しいぜぃ」


夢「えっとねびーえるっていうのは簡単に言っちゃえば“ホ…
むぐっ


仁「フリーダムすぎる所は夢子のええ所の一つなんじゃがここはちと自重ぜよ☆」


赤「つーか仁王先輩それ何キャラなんスか」


ー…ぷりっきゅあ、ぷりっきゅあ〜♪


ブ「あん?」


夢「おおおこれはまさしくニオの歌!


仁「は、」


赤「いつぞやの会話で夢子先輩が熱唱してたあの曲ッスね」


ブ「つーかなんなのこれ」


岳「侑士、電話きてんぜ」


忍「あ、ほんまや」


ブ「お前か」


赤「つか何その着信音」


忍「あ、跡部?俺やでー……え?」


夢「お?」


ブ「ん、なんだ」


忍「え、いや、タロウは一緒におらへんよ」


赤「どんな会話してんだ」


忍「あ、あー…分かったわ、ほな」


ピッ


岳「跡部なんだって?」


忍「タロウが迷子になったらしいで」


岳「げっ、またかよー」


ブ「迷子?」


岳「あーあ、どうせまた一人で好き勝手に散歩でもしてたんだろうなー」


夢「タロウって何?牛?」


赤「何でもかんでも動物ッスね」


岳「俺らの監督だぜ」


仁「は、監督が迷子って有りなんか」


赤「つか氷帝より遥かにちっせー敷地内で迷子になるってのがありえねー」
 
忍「ちゅーわけでタロウ捜さなアカン任務が出来おったから俺らはそろそろ行くで」


夢「はーい!また遊ぼうね、えんそく君に向日君っ」


赤「遊んでたっていうより一方的に面白がってた感じッスよね」


忍「結局名前ちゃうし」


岳「んじゃーな!」


夢「ばいばーい!」


赤「…はあ、せっかく俺から標的が外れてたのに」


仁「ん、あんまかまってもらえんでスネとったんか赤也ー」


赤「いや全然むしろあのまんまが良かったッス」


ブ「意地はんなよい」


赤「超素直な答えなんスけど」


夢「向日君女の子みたいで可愛かったねっ」


仁「背ぇ小さいからのう」


ブ「向日ってあのジャンプ力半端ねえやつだろ?」


赤「しのびあしって人との扱いの差マジ激しいな」


ブ「あ、そういやニンニクの奴、関西弁だったな」


赤「え、超いまさらッスね」


仁「関西弁といいあの眼鏡といい、なんだか胡散臭い奴じゃったのぅ」


ブ「や、お前それ人の事言えねーよ」


赤「仁王先輩ってなんかもう存在自体が胡散臭いッスよね」


仁「なんじゃ二人して失礼な奴じゃな、そんなことなかー」


赤「じゃあ出身地教えてくださいよ」


仁「…プリッ」


赤「ほらごまかした、だいたいその変な口癖がさらに胡散臭さアップさせてんスよ」


仁「うるさいんじゃお前ー」


ムギュッ


赤「いだっ、ちょ、ちょっとそこ腫れてるんスからつねらないでくださいよ!」


仁「俺に口答えなんてするからじゃ、ちょっとは静かにしんしゃい」


ムギュッ


赤「いっ…、な、にするんスか丸井先輩まで!」


ブ「え、いや、……ノリ?」


仁「ブンちゃん最高じゃ」


赤「最低だ!」


夢「うーん」


ムギューッ


赤「いだだだだっ」


夢「うーむむ」


赤「ひょ、夢子先輩見ひぇないひぇたしゅけてくだひゃいひょ」


ブ「はぁ、なんて?」


赤「先輩たひが放ひてくんねえひゃら喋れねんスひょ!」


仁「赤也きちんと日本語しゃべりんしゃい」


赤「仁王ひぇんぱいだひぇには言われひゃくねー!」


夢「うーんんんん」


ブ「ん、どうした夢子」


仁「さっきから何唸っとるんじゃ」


夢「えっと…、結局えんそく君の本名ってなんだったんだろうねっ」


ブ「あ、」


赤「あー…」


仁「プリッ」







プリガムレッドお姫様
(やっぱニンニク?)
(えんそくでしょ!)
(や、忍び足かもしんにゃいひゅひょー)
(…面白そうじゃし、このまま知らんぷりでもしとくかのぅ)


 



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