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刀剣乱舞
懐刀(その2)

「懐長谷部君が羨ましいんですがー」
本丸広間でおやつを食べてる時に審神者が、一緒に作ったプリンを口にしながら、子供がむくれた様な口調で言った
「何だ?それ、大将」
「主様のは、何味でしたか?僕のはチョコでした」
「カスタードだよ。はい、一口」
薬研が不思議そうな顔で問う中
五虎退が一緒に食べているプリン容器を覗き込んで来た
審神者はスプーンに自分のプリンを掬い五虎退の口元へ差し出す
僅かに躊躇った後に、五虎退がプリンを嬉しそうに食べた
「えへへ…有り難うございます」
「余所の本丸の話だな…審神者は男性らしいが
…信濃の話の流れで、懐に長谷部本体を捩じ込まれたとか…」
山姥切がプリンを口にしながら、思い出す口調で言うと
審神者は大きく頷いた
「そう!良いなぁ
懐に長谷部君」
「…捩じ込まれたいのか?大将」
訝しげに薬研が審神者を見れば
審神者は考える顔になる
「ねじ込むが、どんな風か分からないんだけど」
本体を懐に入れてくるのが、信頼してるからな気がして
羨ましい…
「ぼ、僕等、主様を信頼してますよ」
「そうだぜ大将」
「あ、いやいや。
そこは疑ってないよ」
家の男士は、大小の差はあれど信頼してくれてると思います。
思いたい。
片手を左右に振り慌てた口調の審神者は、小さく首傾げ付け足した
「大将は洋装だし、前に信濃が来た時も話してたが短刀でも
服の中に入れにくそうだしなぁ」
薬研のしみじみした口調に、むむう
と眉を寄せて自分の胸元を眺める
「確かに谷間に挟むにしても」
「「挟まない」からな」

口を揃えられた
「どうせ、いかがわしい感満載だったよ…」
拗ねた風に呟く審神者に、広間入り口へ長谷部が姿を見せた
「ただいま戻りました。
主、こちらにいらっしゃったのですね」
「お帰り」
「おかえりなさい、長谷部さん」
「お帰り旦那」
「お帰り、遠征有り難うね。
おやつ冷蔵庫にあるよ」
皆で声を掛ければ、長谷部が審神者の傍らへ正座した。
「はい。有り難うございます。報告書は…」
「ん?いい。そこは信用してる
とりあえず成功か大成功かだけ」
「大成功です」
「有り難うー助かります」
スプーンを持ったまま、両手合わせ長谷部を拝む風な審神者に
お止め下さい。と苦笑と困惑を滲ませ長谷部が片手で制す
「結果を出すのは当然です」
「ぷりん、冷蔵庫にあるぞ」
取って来てやろうか?
山姥切の言葉に長谷部は頭を左右に振る
「いや、後で…今日は、誰が作ったんだ?」
「俺っち達、短刀と大将と国広の旦那」
「後で必ず食べる」
「はい、じゃあ一口あげるよ」
遠征お疲れ様
審神者が笑顔でプリンをスプーンに掬い長谷部に差し出せば
一瞬躊躇いを見せたが、唇を開きプリンを口にし
嬉しそうに笑みを見せた
「誉れを有り難うございます」
「ん?プリン一口って誉れにならないでしょ
長谷部君は、いつも働き者だし。」
誉れなら、もっと良いのあげなきゃ。
審神者の呑気な笑顔に、いいえ。と長谷部が返した
「お話の邪魔をしましたか?」
「ううん、懐長谷部君の話してただけだから」
「…ああ、余所の本丸の…」
そう。
「先日も信濃君が、お膝に!可愛いかった…」
うっかりそれを見る羽目になった長谷部君も
可愛い過ぎたが
ぐ、とスプーン握りしめた審神者に
その場にいた男士が目を逸らす
「信濃なら、膝に乗せたりしているだろう」
山姥切の言葉に、うん。と頷く
「ただ、あっちの主様の所は、
膝のせてーって来てくれた感が可愛いやら羨ましいやら」
「あー大将、すきんしっぷに積極的だからな」
膝に乗りたいと言う前に、おいでと呼ぶし
ぎゅーぎゅー抱き締めて来るしな。
薬研の言葉に、がくーと審神者は項垂れた
「う、やはりそこが敗因か…」
でも我慢出来ないし
我慢した挙げ句、来てくれないとかなったら泣く
項垂れた審神者にポンポンと薬研が肩を叩く
「なあ、大将
せっかく人型になってるんだ。
俺っちも皆も、本体を大将の側へ寄せておくより
この身で傍に居て、大将と話をしたり
抱き締めたりされる方が、よっぽど嬉しいんだがな」
にこやかに薬研が言う中、空いた手を五虎退に見せる様に、ちょいちょいと指示している
慌てて五虎退が両手握りしめ審神者の方を向く
「ぼ、僕も主様とお話できるほうが嬉しいです。
抱っこされて、お話できるのもっと嬉しいし」
「…ぐっはー可愛い!!もう嫁においで!あんた達っ」
スプーン放り投げ、審神者が両腕広げ薬研と五虎退を抱き締めた
「わっ」
「はは、大将、はいてんしょんだな」

楽しそうな様子を眺め
審神者に聞こえぬ様に山姥切が長谷部へ囁く
「あんたの本体を、あいつの懐に入れてやれば落ち着くんじゃないか?」
「断る」
眉を寄せ苦々し気な顔で返事を受け
山姥切は、小さく首傾げる。
「何でだ?やっぱり絵面的に春画っぽか…」
「違う、この馬鹿」
「主は、脆い上に怪我の治りも遅いんだぞ
うっかり本体で擦って痣でも出来たりしたら
どうする」
「…別に気にしなさそうだが…」
「俺が気にする!」
「…まぁ、そうだな」
「むしろ、お前のを懐に入れたらどうだ」
「無理だな」

「大将、長谷部の旦那が帰ったんだから次の遠征を編制しないのか?」
「あ、そうだ。
教えてくれて有り難う」
五虎退と共に抱きつかれていた薬研の言葉に
審神者が手を離すと、えへへーと笑い
二人の頭を撫でて立ち上がった
「じゃあ、お仕事してくるね」
「いってらっしゃい」
「頑張って下さい主様」
はーい。
とパタパタ広間を審神者が自室に向かう為
出て行くのを見れば、薬研が悪戯っぽく笑い
立ち上がり後に続こうとする二人を見た
「貸しだぜ、旦那達」
「…分かった」
「何が欲しいか、後で聞こう」
「はは、冗談だよ
家の大将は、ああいう所がチョロくて可愛いよな」
悪戯っぽい笑顔のままの薬研に
打刀二人が、極みとやらが実装されたら
こいつは脇差し打刀通り越し太刀風になるんじゃないのか
と思ったとか。



END
余所本丸さん長谷部君はイケメンなのに可愛いのですよ…

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