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「正直お前の意見なんて必要ねぇ。大体この俺がお前のこと好きっていってんだよ。それで満足しろよ」

そう言って明人はそっと目を閉じて顔を俺に寄せる。
あああ、コワイこと要求してるよ、この人ー!

「明人…っ、駄目だ、不純同性交流は。俺たちまだ高校生じゃないか! 健全なお付き合いというものをしなくっちゃいけないだろ! な! 不純の上同性だろ? そんなのはいけない。もっと周りを見よう!!」

学校には居なくても、周りには女の子、いっぱい居るじゃないか! と言おうとしたところで明人のだるそうな声が遮った。

「つべこべうるせーなー」

そういうや否や、ぐいっと俺のネクタイを引っ張った。

「おぁ!?」

バランスを崩して前のめりした瞬間に、明人の柔らかい唇が押し付けられた。
勢いもあってか歯と歯がぶつかり合うようなキスだ。
いきなりのことに驚き、息苦しさに唇を開いた瞬間に明人の舌が進入する。

「んっ…」

熱く吐息まで奪うようなキスに、だんだんクラリとしてくる。
ヤバイ、これ俺のファーストキスだ…という思考すら吸い取ってしまう濃厚なキス。
舌を絡ませ、角度を変え何度も何度も深く口付ける。
ぼーっとしてきた俺の視界に見慣れた風景が広がる。うわ、ってここ、玄関先じゃん! 何やってんだよ!
助けて! 色んな意味で助けて!!

全身全霊で押しのけようとしても、びくともしない。
ああ、そうだ。こいつの趣味は筋力トレーニングで毎日毎日腕立て伏せやらランニングやらをして鍛えてるんだ。家に帰ったらテレビを見たりして堕落した生活を満喫している俺とは、体の構造が違う。俺より身長が低いとか言うこともそこには何にも影響は及ぼさない。
自分より小柄だからって安心は出来ないと言うことを俺は身を持って体験しました。皆さんも気をつけよう。

「っ、はぁはぁ…」

唇が痛くなるほど接触を重ねたあと、俺は開放された。

「…もう、我慢しねぇって決めたんだ。じゃねぇと勝手に女作りやがるからな、お前」

「いや、勝手にって…それは俺の自由じゃ…」

「自由? そんなモンは俺とお前の間にねぇ」

きっぱりと言ってのけたその姿は、なんだかジャ●アンに見える。そんな俺は勿論の●太だ。助けて、ドラ●もーん。

「お前、中学のときに言っただろ? 俺がずっと傍にいてやるから学校へ行こうってな?」

言った。
……言ってしまった。
当時の俺は何かに憑かれていたに違いない。俺は外面だけはいい優等生だったんだ。

「それなのにどーだ、お前。学校に入ってから俺を避けるようになったじゃねーか。約束が違うんだよ」

だんだんと明人の声のトーンが下がる。最早朝一番の可愛らしい面影なんてどこにもない。

「それは……だって」

「言い訳は聞きたくねぇんだよ。お前の取るべき選択肢はひとつ。俺の傍から離れるな。これだけだ」

「離れるなって……。お前人気者じゃん、俺なんかいなくったってさ」

明人の瞳が鋭利なナイフのように鋭くなった。

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