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僕たちが出掛ける準備をしてる間、こっそりと襖の隙間から覗いている姿があった。誰だかはすぐに予想がつく。

「おい」

若干幼さの残った声。それに山根が振り向いて、驚いたように目を丸くした。
…こいつ、気付いてなかったのか?

「おい、あんたら、村の人間じゃないだろ。何だよ」

少年はするりと座敷に入り込むと、襖を閉じて僕たちに疑わしい目を向ける。

「君は康介くんか。いつから居たんだい」「何で名前知ってんだよ…」
「お母さんから聞いている。さっき外から見ていただろう」
「おれの家に、知らない奴が居たからな」

康介君はフンと鼻を鳴らした。
だいたい小学5、6年生か中学生か…僕より背が高い。顔つきはあまり大人びてはいないから、まぁ僕たちより年下だろうことだけはわかる。

「あんたら村の儀式のこと、探りに来たんだろ。外から来る人間はみんなそうだ」
「…儀式?」
「7月30日にわざわざ来てるんだから決まってる。ついて来いよ、教えてやる」

そう言って康介君は僕たちに構わず、スタスタと出て行ってしまった。
僕は山根と顔を見合わせる。

「…間違いなく例の事件のことだろうね。思わぬ好機だ、向こうから近付いて来るなんて」
「何で彼はわざわざ教えてくれるんだ?」「さぁ…でも何にしても、行かない手はないだろう」

山根がそう言うので、僕も康介君を追うことにした。

「遅いよ」

そう言う彼は玄関口で僕たちを待っていてくれたようだった。



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あきゅろす。
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