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「僕は具体的には何をすればいい」

そう聞くと山根が鞄から三枚、画像が印刷されたコピー用紙を取り出す。

「右から柳沢梨花、佐藤真希、浅野恭子。今回の一連の事件の被害者だ」

既に僕もテレビで見飽きた顔だった。
犯人が見つからないままなので、しょっちゅうニュースで流れている。

「上州中学の三年生。クラスは別だが同じ塾に通っていた。ちなみに交友関係はなし。だから第一の共通点はこの塾だね」

同じ塾に通っていたこともテレビで言われている。
彼女たちは塾の帰りから行方がわからなくなっており、後に遺体で発見されていた。

「そしてこの進学塾は受験を控えた中学生がたくさん通っている。ほとんど上州中の生徒らしいが、その数はかなり多い。その中からこの三人が選ばれた理由」

言葉を切って山根はにこりと笑った。

「上州中に聞き込みに行ったよ。彼女たちはクラスの中でも目立たない方で、大人しい子だったようだ」
「聞き込みって…お前、中学生に聞いてきたのか」
「高校の新聞部と言って説明しといた」

山根の熱心さに呆れる。
こういうことに関してのこいつは活き活きとしていた。

目立たない方だったと言う話は納得できる。
画像から見るにも三人とも活発そうではない。優しそうなおっとりした顔だった。

「犯人はそういう子を狙ってるのか」
「俺の予想だけどね。三人の共通点を見つけるとしたら、これくらいしかわからなかったんだ」

山根はため息混じりにそうぼやいた。

当たってるかどうかは僕は知らない。
だがもしもそうなら、犯人はあまり気の強い方ではないんじゃないかと思った。

「犯人をおびき寄せる為に、俺たち――いや、君にしかできないこと方法を使う。俺一人じゃできないんだ」
「それって何」
「円くんに女子中学生になってもらう」
「……は?」

…何、言ってんだろ。こいつは。

「服は俺の姉のを使うから大丈夫。円くんを囮に犯人に近付くんだ。君のその顔ならいけると思うよ…背も低いし。中学生に見えるだろう」
「うるさい。ていうかふざけてんのか?」「俺は本気だよ」

山根は穏やかな顔でコーヒーを啜った。

「いくら何でも騙されるわけないだろ」
「物は試しさ。やってみなければわからない。それとも円くん、君に妙案があるなら聞こうじゃないか」

そう言われると詰まってしまう。
想定していない計画についての妙案なんて、僕が持ってるわけないじゃないか。



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