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 第一幕 「傷」


僕のクラスには変な奴が居る。
窓際の席でいつも本を読んでいる。模範生のようにきっちりと制服を着こなし、墨のように真っ黒な髪と瞳をしていた。

孤立している奴ってのはどの学校にも居るだろう。でもそういうのとは違う。
友達が出来ないとかじゃなくて、何ていうか、一人だけ別次元に居るみたいな。
近付きがたい、得も言われぬオーラが垂れ流されていた。

そいつの名は山根 元晴。
初めて声をかけた時に読んでいた本は『世界犯罪大全』だ。
それ以来、僕は一切声をかけていない。

入学式のすぐ後から友達も作ろうとせずに怪しげな本を読みふける山根。
本当に犯罪に興味があるのか、それともそういう目で見られたい所謂'中二病'なのか、そのどちらにしろ僕は関わりたくなかった。

平穏無事に変哲のない学生生活を送りたい僕にとって、そういう面倒な奴は要らないと思っていたから。



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あきゅろす。
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