俺様☆みらくる! 2 ぱしんと乾いた音が部屋に響いた。 ヒリヒリ痛む頬を押さえ、殴った相手を睨む。 『何するんだ、清田』 何故止めるんだろう! そう憤ることもできたが、清田の悲しい顔を見たら言うことができなかった。 「一人で戦うなら、手助けしません」 『意味がわからないよ』 「清田、止めとけって」 「いや。久々に正論を言っているぞ。唯、回りを見ろ」 清田だけではなかった。 皆が悲しい顔をしている。 独りで、抱え込んでたのかもしれない。 ただ突っ走るだけなら、周りは傷つかないとでも思っていたのか僕は。 そうじゃないだろ!! 『ごめん。僕、頭の中真っ白になってたね』 「唯さま…」 『みんな、ごめん。頭冷やしてくる』 焦っても起こってしまった事態は避けられはしない。 これからどうするかを考えるべきだった。 宵に…守られなくても僕は…… そう、思ったばかりなのに。 結局、人格すら越えられないのかよ。 『…っく、そ!!』 愛斑がこんなにも憎い。 もう、放っといてよ。 関わらないから、頼むから。 これ以上、自分を嫌いにさせないでよ! 「おやおや、見てはならないものを見てしまったようだね」 『!!?っり、理事長』 「いやぁ、閑散としていて優雅な朝だと思えば、悲しむ生徒が多数…仕事しなきゃダメみたいで残念だよ」 「バカ言うものじゃありませんよ、いつも、常に、毎日!仕事をなさい」 『…』 「えへー、着いてきたのかぁ。邪魔くさいなぁ」 「唯さま!!………っはぁ?!」 『あ、三樹雄』 ま、驚くよね。 そもそも理事長は校舎に足は運べない。 仕事と言うのは外回り…資金援助先の機嫌取りが主だから。 それに、秘書さんに頬をつねられてるしね。 「あの、話ならまだ…」 「なぁに!いいって!いっつも愛斑君に任せきりだったし?理事長の仕事にも入るから、こっから先は仕切るって!」 「厳格を持てと何度言わすのですか?!あぁ?」 「ひぃぃぃ!助けて愛斑君!」 『三樹雄、みんなは……』 「大丈夫です」 『そっか。良かった』 「無視?無視なのか?ねーぇ!イチャイチャしてないで助けっグフォ」 「さぁ、戻りますよ。頭はそのあと冷やしなさい」 秘書さん、二年前より鬼畜になりましたね。 生徒会室に戻ると、皆は三樹雄と同じ反応をした。 うーん、そんなにレアでもない人だよ。 変装しながら校舎うろついてるから、ホントにたまにね。 「リストの作成はこちらでやります、あなた方は今後のプランでも捻り出しなさい」 「誰っすか」 「秘書さん」 「こぇえっすね、あの清田とキャラ被りしそう」 「言っちゃダメだからねー?気にしてるみたいだから」 『二人とも、後ろにいるの知っててやってない?もう無駄口なしで考えを言っていこうよ』 清田も沈まないでね! そう釘を指し、僕らは話し合った。 今後といっても、救出もとい生徒の奪還作戦は理事長の役割らしいから、生徒たちが戻ったあとのことや僕の問題についてだけ。 『朝会を開くのはどうかな』 「無難だな」 『お兄ちゃん、さっきからそればっかりだから。考えてよ。ホントに僕の引き出しからなくなりそう! 』 「もうギブなの唯にゃん?」 『僕の問題については、ゆっくり考えるし。どう謝罪会見やるかなんてわかんないよー』 謝罪することもない気がするけど、巻き込んでしまった以上やらなきゃいけない。 それが舞台上か放送かってだけでしょう? もう他に案なんかないって! 「はぁー、参りましたね。唯的には真っ正面からの謝罪でしたけ?で、隠れ陰険隊長は放送?他にはないんですか」 「そもそも、何故学校を無断外出したのかさえ判れば楽な話なんだがな」 「集団失踪ね。うーん、さしずめ家の人間でしょう?それって自らの意思じゃどうしようもない時あるじゃんか」 「確かに、そうですよね」 「身に覚えあるみたいだねー三樹雄くんや」 「あぁ、あれですか。すみません、見ちゃいました」 三樹雄も、家の事情を最近体験してたね。 設楽くん、それはあえて言わなくて良かった情報だよー。 やっぱり、誠意を込めて壇上で土下座だよ! 「ほう?決まりませんでしたか」 「もう無理、疲れた、コーヒーplease!」 『出来ましたか、秘書さん』 「使えない豚の飼育を何年やっているとお思いです」 2度、気温が下がりました。 仕事してくださいよ理事長うぅ! [*前へ][次へ#] [戻る] |