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俺様☆みらくる!
過去を背負う事
寮にそれぞれ帰ったメンバーの顔が浮かなかった。
その中でも、三樹雄が特に沈んでいて皆、声をかけられず部屋へ入っていった。

習慣からか、宵を見送った三樹雄はようやく口を開いた。




「紫乃って若草ですよね…」

『……そんな話をしたいか』

「そもそも、若草って名字なのも疑問です」

『唯は話したがらないからな。知らなくて当然だ』

「そんなに信用ないですか!?」




悲痛な面持ちに宵も狼狽えた。
唯に恋をしているのは中で見ていてわかっていた。
いつか、覚めるか諦めるかと思っていたため人格が違っているのに問い詰める姿はなんとも言えなかった。


「唯さまでも、宵さまでも俺は構わない。だって貴方に変わりないから。だから今お聞きしたい…信用ないから過去を話してもらえないんですか?」

『知ってどうする?今の唯を好いてればいいじゃないか』

「過去に巻き込まれていると言うのに?」

『チッ、大体、話す義理ねぇんだよ』

「っ…」




宵は焦ってそう言ってしまった。
唯の意思に反することを話してしまいそうだったからだ。
こんなにも真剣な人に嘘は言いたくなく、しかし本当の事を話せば唯を裏切る。


宵も苦しかった。




『っ、落ち込むんじゃねー!俺様が悪いみたいだ!』

「っんで?唯さま。唯さま…」




今にも泣きそうな三樹雄に反応したのか、唯の意思が浮上してきた。
交代かよ、なんて思ってもいないくせに悪態を唯について宵は眠った。




──嫌な役回りは、もうさせないから。ゴメンね、ここからは僕が乗り越えなきゃ意味ないんだ。




「唯さま!唯さ」

『ひっさしぶりー。ってこともないよね。三樹雄』

「ゆ、いさま。お帰りなさい」

『話すよ、きちんと。若草君との事もちゃんと』




時枝くんに話したように。
君には知る権利はあるんだよね。


夜は、そうして更けていった。









「……話してもらおうか?唯の部屋から何故お前が出てくるのか」

「いつもの敬語はどうしましたか?」

『もー、やめてよ二人とも』



夜中、色々話していて三樹雄が寝てしまったので泊めてあげたら、朝方清田が迎えに来ちゃって、三樹雄を見られたんだ。

めんどくさい。
何もないに決まってるじゃん!
恋人じゃないんだからさ。
大体、恋人でも口出し無用ってもんじゃないかな?!

何があるのかは知らないけど、ね!




「唯にゃん」

『ん?』

「隊長さんの機嫌直ってるし、唯にゃんに戻ってるけど。本気で何もなかったわけ?」

『話しただけ』

「えっ…」

『あんな顔されちゃ。話すしかないよ』

「っ、そっかぁ」




時枝は内心穏やかではなかった。
自分だけが知る唯が、三樹雄にも知られたのだから。

──あーあ。最低だ。嫉妬しすぎて殴りたい。自由で……博愛主義なはずなんだけどなぁ…



『?時枝くん?』

「さ、授業に遅れるから皆も行こうよー」




時枝くんの言葉に、ギクリとした三樹雄と清田に何だか可笑しくなって小さく笑った。
もしかしたら、宵に守られなくても僕は…

ううん、そんなはずない。
僕をよく知ってる彼を、失うなんて。

乗り越えると…言ったって、それだけは。
もういいや、考えたくない。

僕は考えることを放棄し、先に行ってしまった皆の元へ急いだ。



『あれ』

「やはり、おかしいですよね。唯さま」

『三樹雄もそう思う?』

「いや、明らかに人が減った。誰が見てもわかるぞ、唯」

『………(うわ、影薄くて忘れてたや)なんで、人が…』

「お、かいちょーさま!丁度良かった!来てくれませんか?」



設楽くんに呼ばれ、生徒会室に向かう。
サボり…じゃなくて、情報の整理をしていたらしくコンピューターは付けられたままだった。
その画面を見ろと言われ、見てみると。




「この数、尋常ではありませんよ。唯」

『な、に?これ。無断外出者60人って』


クラスの何人かが抜けている計算だ。
集団ヒステリックじゃあるまいし、何故こんな人数が無断で外出しているのだ?


「風紀にも連絡したよ!御手上げみたい」

『時枝くん!理事長にも繋げて!』

「拉致?いやしかし…」

「名前は割り出せませんか?設楽さん」

「うーん。隊長の言いたいことはわかるけどよ、権限ないからハッキングはヤバイって」

『じゃ、僕が出すから。調べて?』

「唯さま!」

『仕方ない。だって、学園の仲間が巻き込まれた可能性が否めないんだよ?!』


愛斑しか思い当たらない、セキュリティの件もそうだし、もしかしたら幹部に関わりのある生徒ばかりかもしれない。
もし、そうなら僕は……

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あきゅろす。
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