俺様☆みらくる! 7 理央と永瀬がビクつき、辺りを見回す。 舌打ちの主を大体知っているように見えたので、時枝と清田は彼らの視線の先を見た。 やはり、というべきか…その人物は一年の中では大富豪に当たる青年がいた。 「……ぁ、俺は全然平気ですよ!ちょっと楽しみすぎて寝れなかったて言うか…」 「もう話は粗方聞いたから、いいんだよ?永瀬くん」 「えっ」 「あの方で間違いありませんね、三人とも」 「いや、あの!」 「永瀬くんっ…もう、やめようよ…永瀬くんばかり傷つくのは見たくないよ…」 虚勢を張る永瀬を見てられず、理央が泣き出した。 永瀬は狼狽しながら理央の背を撫で、時枝たちの質問に肯定した。 「……陰湿なことをするのですね、東谷家の三男は…」 「何の事だか」 「証拠揃えてご自宅に訪問いたしましょうか?我々は構いませんけど」 「そーそー。事実が発覚したんだ、唯だって黙っちゃいないだろうしね」 強気な姿勢に、東谷 竜二は鼻で笑った。 唯の裏の噂を知っているのだと清田が勘づき、ふぅとため息を吐く。 「…貴方は何もかもを知っているようですが、それはほんの一部に過ぎないですよ」 「あのダメ会長が立ち上がったところで、何も怖くはない。一部?過去も知らないお前たちよりは知ってるさ」 「っ過去?」 「時枝は知らないかもしれませんが、私や忌々しい隊長が知らないとでも?」 「あぁ、何も知っちゃいない…」 「それは聞き捨てならないな…忌々しい?俺が知らない?笑わせる」 「(えーっ、お前どっちの味方だよ!空気を読め、隊長さん!)」 時枝は密かに突っ込んだ。 腹黒いやりとりに胃をやられてきたものが続出するグラウンドに、無線が入った。 『ちょっとー!僕も聞き捨てならっ…ちょ、お兄ちゃん返してよー!』 「(頼むから話をこじらせないで、唯にゃーん…)お前さー、なぁんか勘違いしてない?そもそも証拠云々より、見てた奴いるんだろ?」 「……さぁて、どうかな?」 「権力で押さえつけてるつもりだろうけど、無駄なんじゃないかなー」 カマをかけてみようと言う手段に出た時枝に、清田もニヤリと笑う。 嘘も方便と言うが、実際嘘でもない。 生徒会と言う名は伊達じゃないからだ。 「…言わないさ、言えるわけがない。裏切れる奴なんか、一人も…」 「っっもう嫌だ!!」 「…っ?!」 なおもしらばっくれる東谷の発言に、一人の生徒が叫んだ。 東谷は驚いたのちに嫌悪を浮かべ、その生徒を睨む。 それに生徒は怯えながらも、清田の方へ近寄り見ていたと言った。 「助けるのが怖かった。次は俺かと思ったら…でも、もう嫌なんだよ、黙っているのも加害者な気がするし傷つくあの子を見るのは、たくさんだ!!」 「ぉ、俺も見た!」 「僕も、見ていました…」 「影で殴ってたぜ、あいつ」 「……お前ら……」 口々に目撃したと言う一年たちに、二年も反応してか犯人はこいつだという声も出た。 [*前へ][次へ#] [戻る] |