俺様☆みらくる! 6 どこの親衛隊にも属さない一般の生徒が、傷だらけで横たわっていた。 時枝は着いてすぐに生徒たちに何があったのか聞いた。 しかし、誰も口を開かない。 「誰も知らないと?えー?こんなに人数いるのに?」 「ときっ…」 状況を話そうと清田が口を開いたが、時枝は手で制止した。 確かに清田から聞けば早いが、それでは今の状態の卑劣さに生徒たちは自覚しない。 生徒もいっこうに目を覚まさない辺り、酷く弄ばれたのだろう。 「俺はさっきまで居なかったからわかんないんだけど?ねぇ、この子が一人で怪我して気絶したって言いたいの?」 周りを見渡しながら失笑する時枝に、怪我をした生徒の近くにいた生徒が動揺した。 何かを知っているが、言い出せない。 そんなところだろう。 だが、甘えさせる気がない時枝はその生徒に目をつける。 「君、その子を知ってる?」 「…あ、ぇ…」 「気にしてるっぽいけど?違ったかなぁ…」 「し、知ってるて言うか…」 「やめとけって…俺らじゃ…」 「なに?なんなの?…何かあったんだ?」 「っ!……あの…」 「どうせ、助けてくれないじゃないか!!首突っ込まないでくれよ!」 「…設楽くんっ……」 「理央もそう思ってんだろ!?」 話そうとする生徒・理央を制止した設楽は、どうやら気を失ったままの彼と理央と仲がいいみたいだった。 話の脈絡からして、イジメは前からあったようで相談もしていたようだ。 だが、生徒会まで話が鮮明に届いていないところを見ると、相談相手は教師。 イジメを行っている側に買収されたかどうかは定かじゃないが、穏やかじゃない状態のようだ。 時枝は、彼らの近くまで行き設楽の肩を掴む。 真摯に見つめて話せと促すと、ポロポロ話し始めた。 「……初めは、理央と永瀬…あの気絶してる子が対象だった。ただ、漫画部ってだけでオタクだとか色々言われてて…。俺、許せないって言うか…、こいつらの漫画好きだったからバカにするなっつったら、酷くなって」 「永瀬くんが…っ、僕は巻き込まれてるだけって言って…違うのに、わざとキモいオタクのフリし始めて…」 「イジメが永瀬に集中して…、最近は呼び出しもあったから俺が守ってきたんだけど」 「確か、設楽と永瀬は班が違ったか。清田?」 「あぁ、違う。島田理央とも離れた」 大体の状況を読み込めた時枝。 設楽の目が離れた隙に、永瀬を好き勝手したようだ。 なんて卑劣な…と時枝は憤る。 何故、そこまでいたぶらなくてはならない? 趣味嗜好は人それぞれではないか。 現に世間からすれば、この学園に蔓延る同性愛も偏見対象だ。 「……ん」 「永瀬くん?!」 「…っ永瀬!」 「……ぁ、亮…理央。俺…」 時枝が思案しているとき、永瀬が意識を取り戻した。 すぐさま体調などを聞きに清田が近づく。 その時。 「…チッ…」 この場に似合わない舌打ちが響いた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |