俺様☆みらくる! 4 クルクル回る何かを見つめていたら、声が朧気に聞こえてきた。 誰かなんて、理解をすることを放棄してしまった頭。 いや……働かないの間違いだ。 上手く物事を処理できていない。 僕は、何をしていたんだっけ? 『…………あ、』 清田を探していたんだ。 拐われてしまったから、みんなで捜索していて前から誰かが来て、記憶が… 「…目が覚めた?」 『…………』 わかくさくん…だ。 清田といた頃とは大分雰囲気が変わっているけれど、声は彼だ。 何故、ここに? 「まだ意識がハッキリしないんだな……それに、あいつじゃなさそうだ」 『………?』 「宵は眠ってるのか?」 『よ…い?』 「お前のもう一つの人格の名前だよ」 彼は出させないよ。 だって僕の問題だ。 彼は全く関係ないんだ。 しかし若草君は違うらしく、わかりやすいくらいガッカリした。 「あんたには用がないんだがなぁ」 同じ僕なはずなのに、おかしな話だ。 それに、宵に何で会いたがる? 用なら僕で事足りるんじゃ… っ! ──最初から狙いは僕だった。 彼の言葉を思い出した。 若草君は清田を拐ったように見せかけて、僕が単独行動するように仕向けたんだ。 『何故、宵を?』 「あいつが全てを壊した。何もかも奪われた。その仕返しなだけさ」 嘲笑う若草君に、僕は黙る。 昔、何かをしてしまったのだろうけれど、僕は覚えがない。 だから何も言えなかった。 シンと沈黙が流れ、若草君があからさまにため息をついた。 「……どうしたら彼が出てきてくれるのかな?」 『…そんなの…知らない』 「アンタのことなのに知らないのかよ?使えないな」 『好きで人格分離した訳じゃないから』 「…ならアンタを痛め付けるか…」 不穏な事を言い、彼は僕の胸を足で押し付けてきた。 アバラが軋み、僕は息苦しさにもがく。 そこで気付いた、体は完全に回復していることに。 ならば、何とかして逃げられる。 「どんどん苦しくなるよ?早く出てこないと殺してしまうかもな!」 『ゃ…め!ぐっ』 言う通りに力を込めていく若草君の足を、何とか避けようと掴むけれど力が上手く入れれず無駄な足掻きにしかならない。 苦しい、誰か!誰か……、助け… 【……】 涙で霞む瞳を閉じた瞬間、哀しげな顔をする彼…宵が見えた気がした。 そして、僕は意識の奥深くへ沈んでいく。 【守れるのは、俺様だけだ】 最後に、そう聞こえた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |