縁切りの神様 貴方を想うからこそG 其れから更に数日後。 「其の節はありがとうございました」 「いえいえ」 思い掛けない兄の告白でついに長年温め続けた其の想いを成就させた彼女。 其の、太陽みたいに眩しい娘の笑顔に癒された宗貞もニコリと笑って 「で、一緒に行く事にしたのですか??」 と聞いてやれば 「はい!!」 先日訪れた時とは嘘の様に別人な、其の満面の笑みは幸せ色に満ちていた。 だから、宗貞も安心した様に 「なら良かったです。どうか二人の愛が末永く続きます様に」 と、数珠を片手に祈ってみせたのだ。 其の瞬間、娘はふと思った。 縁切りの神様は同時に縁結びの神様である事が多いのだ。 其れは、偏(ひとえ)に縁と言っても様々な縁が存る様に。 縁切り神社も縁結び神社も結局は悪縁を断ち切って良縁を結ぶ。という表裏一体の性質を持っていたので。 「本当に‥ありがとうございます」 娘は此の男が縁切りでは無く、縁を結んでくれたキューピットでは無かったのだろうか??と思ったくらいだった。 そして真実こそ定かでは無かったが 「なぁに、私は何もしていませんよ。きっと‥貴方達の互いを想う気持ちが奇跡を生んだのでしょう」 クス、と優艶に微笑んだ宗貞は娘の頭を軽く撫でてやるのだった。 其れが、此の縁切り神社に纏わる話の一つとなるのにそう時間は掛からなかった――― [*前へ] |