縁切りの神様
一夜の過ちI
其の夜
とうとう二人は一線を越えてしまった。
唯の幼馴染という枠組みでは無く
唯の男と、女の関係に―――
「辛いかい??京」
「ううぅっ///」
じんわりと淡い赤色が京の内股に伝う。
其れは二人が一つになった証であり
そして京が生娘から一人前の女になった証でもあった。
「痛かったら痛いと言ってくれ。一度引き抜くから」
「…‥‥業平はん」
業平の秀麗な面持ちがくしゃりと歪んだ。
其れは繋がったが故の苦痛でも感動でも無い。
業平は葛藤していたのだ。
本当は愛する女の中から一旦出なければいけないのに、本当は出たくないという男の性と戦っていたから。
「君に辛い想いをさせるのは…嫌だからね」
「………‥‥」
業平は無理に笑ってみせたのである。
何もかも初めての事だらけの京を気遣って。
なのに
「其れをゆうたら…ウチだっておんなじでっせ」
「‥‥‥え??」
「業平はんばかりにえらい(辛い)想いをさせるんは嫌やし。こないな時位いきって(格好つけて)意地張るんも大概(いい加減)におしやす。阿呆みまっせ??」
じっと堪える業平を前に
京は笑ってそう言ったのである。
まるで業平の心を見透かす様に。
そんな京の思い掛けない言葉に業平は申し訳なさと嬉しさで胸が一杯だった。
「京‥‥君って女は―――」
本当は今直ぐにでも動きたい。
本能のまま思う存分前後に腰を振り、目の前の愛しい女をめちゃくちゃに抱いてやりたいと
内心ではそう思っていた。
しかし
「ええでっせ。業平はんの好きにしておくんなまし。どないなっても後悔おまへんさかい(しませんから)」
業平の首に手を回し
ニコリとはにかんでみせる京が愛しくて愛しくて堪らなかったから。
業平は逸る気持ちを出来うる限り抑えて、一言だけ
「…‥済まない」
と、漏らした。
そして京の額に口付けると
「初めは辛いだろうけれど‥直ぐに良くなるから。俺の為に少しだけ我慢してくれ」
ゆっくりと、実にゆっくりではあるが腰を浮かせて動き始めたのである。
ズズズ‥
腰の動きに合わせて京の中でも業平のモノが音を立てて動く。
「んんっ///」
其れは酷くもどかしくて、何とも言えない違和感があった。
初めての感覚。
あぁ、とうとう自分は業平のモノになってしまった―――
後悔とは違う、息苦しい感情に襲われる京。
其れでも業平に身を委ねると決めたのは紛れも無く自分の意思。
だから
「ふふっ‥少しの我慢で、ホンマに済むんでっしゃろか」
「其れは、どういう……??」
「どうせなら何も考えられなくなるくらい、良くしておくんなまし」
「ッ///」
自分の不安を茶化す様に口にしては、そのまま業平に全てを任せると言わんばかりに瞳をそっと閉じてやったのだ。
もうどうにでもなればいい。
そんな気持ちを頭の片隅で抱きながら。
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