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縁切りの神様
一夜の過ちH





「業平はん‥……」
「何だい??」
「うち、こういうん初めてさかいに。よろしゅうお頼申します///」
「ッ―――」


どうせ流されるのならせめて此の男から余裕を根こそぎ奪ってやりたい。


そんな刹那的な衝動に駆られた京は驚く業平を余所に、チュッと彼の唇に口付けを落としてやったのだ。



其れは触れるだけの、本当に軽い口付け。


だが……


「京ッ///」
「あぁっ、業平はん!!」


業平の理性を奪うには十分な破壊力のある口付けだった。




「嬉しいよ、京…此の日をどんなに待ち焦がれた事か。やっと、やっと君が俺のモノになるなんて!!」


まるで夢みたいだ。

業平が感極まった様子でそう呟けば




「えぇでっせ、今夜は好きにしておくんなまし。でも…痛いんは堪忍でっせ??」

怖いのか、小さく身体を震わせながらもしっかりとした声色でぽそりと囁く京。



そんな京がいじらしくていじらしくて堪らない。



此の時業平は口にこそ出さなかったが‥

しかし欲望が暴走しないか内心では酷く心配しており、苦笑いしか浮かべる事が出来なかったのである。



けれど


「あぁ、分かっているよ」
「ん‥…」

やはり初めてという事もあり、今まで経験が全く無かった京は恐怖心を隠しきれず


顔を上げる事すら出来なかった為、滅多に見られない業平の情けない顔を拝む事はついぞ無かった。





「さぁ、京。力を抜いてご覧??今夜は精根尽き果てるまで愛し合おうじゃないか」
「ひぁっ……///」

するり

静かに、しかし厭らしい手付きで衣類の中に侵入してくる業平の骨ばった手。


着物の間から器用に入り込んだ其れは京のむっちりとした、肉付きの良い腿を優しく撫でてくれた。




「良い匂いだ」
「あっ?!や、何…して‥‥??」


意外にも暴れたり、拒絶したりせず素直に業平の愛撫を受ける京。


そんな京が堪らなく愛おしくて

更に調子に乗った業平が項に顔を埋め、すんすんと匂いを嗅いでくる。



其れが酷く恥ずかしくて



「いややわぁ!!こそばい(くすぐったい)から止めておくれやす!!」

と、抗議しても



「ダメだよ。まだ‥京の身体を堪能してないからね。隅から隅まできっちりと愛撫させて貰うよ」
「はぅうっ///」


ペロペロと首筋を舐められ、そのまま胸元まで舌がつつぅーっと降下してしまう。


其れを止める術が未経験の京には無い。




「あぁ、んっ///はれがましいわぁ(恥ずかしいわ)」
「いいじゃないか。もっともっと、京の恥ずかしい部分を俺に見せてくれないか??」
「や、そんなんいややわぁ!!かんにんしてぇ」


ぱさりと乾いた音が室内に響く。

其れと共に艶やかな紫陽花色の着物がベッドの下にふぁさ、と落とされ―――




「綺麗だよ、京。夜はまだまだ長い。夜明けまで‥共に過ごそうじゃないか」
「あぁあっ、そんなっ///ほんまに、かんにん、してぇ」


京は初めて味わう官能にただただ翻弄されるばかりになるのだった。



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