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縁切りの神様
一夜の過ちE





「勿論、君の全てを俺の手で明らかにしてあげるのさ」
「!!!!!」
「何せ俺と君は婚約しているのだからね」


不自然な事など一つも無いだろう??


京の目に映ったのは、そう言って嬉しそうに笑う業平の微笑みだった。



瞬間、焦りと緊張で京の身体が強張った。



「ちょ…ちょお待っとくれやす!!業平はん!!」
「‥‥どうしたんだい??何か不都合でも」
「…‥‥不都合ゆうよりは///」


このままなし崩しに抱かれたくない。

其れが嘘偽りの無い、京の本心であった。



だから



「なして業平はんはいつもそう‥性急なんでっしゃろか。こういう事はもっと段階を踏んだ上で普通はするんとちゃいますか??」

眉をへの字に曲げては、あからさまに困った様子を見せつけ


しかし業平を傷付けない様やんわり諭してやったのだ。




其れが、宗貞に振られたばかりで心に傷を負っていた京に出来る最大の譲歩だったからだ。




「‥‥普通は、ねぇ」
「そうどす」
「でも俺と君は婚約者で、こういう事をするのに何ら問題は無いだろう??寧ろ好きな女を抱きたいと思うのは男ならば普通の感覚だと思うがね」
「………そうかもしれへんどすなぁ」


だが、食い下がる業平相手に京も其れ以上の譲歩は許さなかった。



本当に好きで好きで好きだったからこそ、振られる痛みも受け容れて貰えない悲しみも京は分かっているつもりだった。

だからいけすかない、意地の悪い年上の幼馴染に対しても無下に断る事が出来ず。




せめて宗貞の事を忘れられる其の日までは待って欲しいと切に願っていた。

なので



「けど堪忍な、業平はん。うちにはどうしても‥忘れられへん人が他におるさかい。そない宙ぶらりんな気持ちのままで業平はんに抱かれるんは…相手にも業平はんにも不誠実でっしゃろ??」


と、躊躇いがちではあるが

真摯に向き合ってくれた業平へちゃんと応える為にも、京は正直に自分の気持ちを吐露してみせたのだ。



本当は知られたくなかったけれど

でも半分は聞いて欲しいという気持ちもあって此処に来たから。



しかし―――




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あきゅろす。
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