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縁切りの神様
忍び寄る不吉の予兆H




「…‥ホンマに。いけずなお人どすなぁ」
「京‥殿……??」


そんなに強く叩いたつもりは無かったのだが


しかし

思っていた以上にか細くて白い京の手がたちまち赤らんでいく其の光景は、宗貞の心に何故か染み付き直ぐに離れようとはなかった。



更に―――


「そんなん冷たい態度、女子に使うたらあきまへんよ」
「…す、すみませ「謝らんといて!!」
「!!!!!」


鋭い口調で京が宗貞の言葉を遮り、とても傷付いた様な顔をして



「ウチこそかんにんしておくれやす。宗貞はんを困らせるつもりはあらへんかったんに…ほな、さいなら」
「あ、京殿?!」


瞬く間に逃げ帰ってしまったのだ。


パタパタパタ、と廊下に淑やかな足音が響く。

其処へ丁度、宗貞の父が現れ




「おや??誰かと思ったら京殿ではないか。そんなに急いでどちらへ行かれるのかな??」

何も知らない彼はニコニコと満面の笑みを京に向けてやったのだ。


しかし、目尻に涙を溜めたまま



「ごめんやす(お邪魔しました)」

と言って、京が玄関を飛び出して行ったので。



「………??」

何が何だかサッパリ分からなかった父は、首を傾げて息子である男に目を向ける事しか出来なかった。


だが、其の肝心な息子も



「ま、待って下さい京殿!!」

と叫んで玄関を飛び出して行ったので。



いよいよ不思議に思った父は


「ま、まさか宗貞よ。お前もしや京殿と……!!」

一瞬、本気で痴情の縺れでは無いだろうか??と危惧してしまったのだが。



「‥って、あの朴念仁の息子が婚約者の居る京殿とどうこうなるなどまず有り得ん話しだろう」


などと

自ら息子を朴念仁と称する程、息子に女っ気が無い事を嘆いていた父は直ぐに興味を無くして部屋へと戻って行くのだった。



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あきゅろす。
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